cogito ergo sum
Michael Krücker(p)

2007年録音











「ツァラトゥストラはかく語りき」、「善悪の彼岸」、「この人を見よ」などの著書で知られるニーチェのピアノ曲です。

大学では哲学を専攻していたので、彼は非常に馴染のある人物です。

割と夢中になって彼の著作は読んだ記憶があります。

只、ニーチェは「哲学者」と言うより、文献学者、歴史家、思想家と言うべきだと思います。


演奏 ☆☆☆ (評価は5つ星が満点です)


楽曲は短いものが多く、最も短い曲は僅か22秒です目

Hymnus an die Freundschaft(友情への讃歌)と題する曲は20分弱の曲ですが、それ以外の曲はたいがい2~3分です。


楽曲ははっきりショパン風ビックリマーク(マズルカも1曲あります)

ただ、ショパンが時折見せる厳しさ、激しさは、ニーチェの楽曲には感じられず、終始ロマンティックにナイーブに曲は流れます。

彼の著作からは想像出来ない気もしますが、こうやって聞いてみると、また別の意味でのニーチェの著作の背後にあるナイーブさを知ることが出来たような気になります。

当然、初めて聴く曲ばかりですが、強く印象に残るような楽曲はありません...。シラー

が、読書の際に何気なくBGMとして流すには最適な楽曲ではあります。(褒め言葉になってないはてなマーク

もう少し褒めておくと、決して素人が無理に背伸びして書いた楽曲のようには感じませんよニコニコ


Michael Krückerはドイツのピアニストで、このCDではヤマハのコンサート・グランドを使用しています。

非常に繊細なタッチの持ち主と感じられ、ffでも刺さるような響きにはなりません。

彼の演奏が、ニーチェの作品をショパン風でありながら、厳しさ、激しさがないものと感じさせるのかも知れませんが、私には好みのタッチで曲を奏でてくれます。


録音 ☆☆☆☆ (評価は5つ星が満点です)


最初はベーゼンドルファーのピアノかと思いましたが、何れにせよ、コンサート・グランドだなぁと感じる、響きが左右によく広がる録音です。

ビロードの上を転がる真珠のような音...と書くと誤解を受けそうですが、残響も心地の良い、肌触りの優しい音です。

SACDならではの音のホグレ感も十分で、比較的ピアノから近い距離で演奏を聴いている感じです。

左右のスピーカーと同じ幅でピアノがそこに置かれ、演奏されている、そんな感じです。

ただ、ダイナミックさは余りないので、臨場感はそんなにはありません。


SACDハイブリッド盤です。(画像をクリックしていただくと、HMVの当該サイトへリンクしています)