cogito ergo sum Hilary Hahn(vn) Colin Davis指揮 London Symphony Orchestra

2003年録音


Elgar - ヴァイオリン協奏曲 ロ短調 作品61

Vaughan Williams - ロマンス 「揚げひばり」







今日もまた、ヒラリー・ハーンです。


エルガーのこの曲は、ヴァイオリン協奏曲としては長めの曲で、このSACDでの演奏時間は50分弱です。有名なヴァイオリン協奏曲では、ベートヴェンのが45分前後、ブラームスのが40分強と言った処でしょうか。

余りキャッチーな旋律があるとも思えず、私にはまだ馴染めない協奏曲の一つです。

ヴォーン・ウィリアムズの「揚げひばり」は、単一楽章の楽曲で、ソロと管弦楽とのスリリングな掛け合いや、ソロが超絶技巧を披露する一般的な「協奏曲」とは違い、心温まるヒューマンドラマを描いた映画のエンディングに出てきそうな優しい楽曲です。


演奏 ☆☆☆ (評価は5つ星が満点です)


エルガーのヴァイオリン協奏曲は、Wikiによると「第3楽章はとりわけヴァイオリンの超絶技巧が要求され、ダブル・ストップや急速なアルペッジョ、さらに作曲者が考案した"ピツィカート・トレモロ"が目立っている。」との事ですが、ハーンが弾くとそんな風には感じません。

ハーンを余りお好みじゃない方々は、「技巧は凄いが芸術性が低い」とか言われるみたいですが、ガンバって演奏してるな!! てな様相が見えないハーンの演奏は、そんな風に感じさせるのかも知れません。


私がヒラリー・ハーンを好きな理由の一つは、彼女のヴァイオリンの音色にあります。

決して破綻しない、耳にキツク響くような事のない、滑らかな音色。

高音域でも線の細さを感じさせない、と言っても「朗々たる響き」な訳でもないのですが、ヴァイオリンの音色が擦過音から発生している事を余り感じさせないところが好きです。

(いわゆるキィーキーした音が全くしないって感じかな)


その音色で超絶技巧も難なく演奏するから、一聴したところでは「面白くない」と感じる事も否めませんが、「肩ひじ張らずにクラシック音楽を楽しめる」のがヒラリー・ハーンだとも思います。


超々超絶技巧が要求されて、楽曲そのものが斬新な協奏曲の方が、ハーンには合っているかも知れませんね。

(だからシェーンベルクの作品では絶賛されているのでしょうか...)


録音 ☆☆☆ (評価は5つ星が満点です)


ライブ録音ではないのですが、ライブのような音場を感じます。

録音はコンサートホールではなく、スタジオの様ですが、コンサートホールのちょっと後ろ目から聴いている感じがします。

音の奥行きが十分なので、そのように感じるのだと思います。


はっ目 とするような、いわゆるオーディオライクに鮮やかな色彩の録音ではないことにも、協奏曲がスリリングな感じがしない原因があるのかも知れません。

ただ、SACDならではの情報量の多さが、奥行きの深さや立体感、管楽器群の自然な定位での再生を可能としているように思います。


SACDハイブリッド盤です。(画像をクリックしていただくと、HMVの当該サイトへリンクしています)


あれあれっ!?

ヒラリー・ハーンはお気に入りのヴァイオリニストなのに、2枚続けて☆☆☆ですねぇ~...。