cogito ergo sum










Sonare Quartet, Vladimir Mendelssohn(va)

1990年録音


ブルックナーの室内楽曲はこのCDに収められている2曲と、習作としての弦楽四重奏曲ハ短調、トロンボーンアンサンブルのための『エクアール』と題する短い作品のみだそうです。

間奏曲(Intermezzo)は、弦楽五重奏曲のスケルツオを、作曲依頼者のヘルメスベルガーが気に入らなかったために、急遽作曲され、スケルツオの代わりにしたものだそうで、事実上、弦楽五重奏曲の一部と言えます。


ヘルメスベルガーは、当時ウィーンで活躍したヴァイオリニストであり、指揮者。また、自らの弦楽四重奏団を主宰していたそうです。

曲の構成は、まさにブルックナーの交響曲の弦楽五重奏曲版ビックリマーク

ブルックナーファンなら必聴の一曲と言え、交響曲の特徴的な書法がそのまま弦楽五重奏で再現されます。

作曲時期は第4交響曲の第2稿の作曲時期と重なり、第5交響曲の改訂時期の少し後らしいですが、第7交響曲を彷彿とさせるものがあります。


演奏 ☆☆☆☆ (評価は5つ星が満点です)


各楽器のバランスも良く、弦楽五重奏曲版交響曲であることを意識しない、うまく力の抜けた演奏です。

無理にスケール感を出そうとか、抑揚をつけてドラマティックにしようとか全くしていません。

どちらかと言うと、控え目ですらあります。

曲そのものが交響曲を彷彿とさせるだけに、室内楽であることに拘ったとも思える爽やかな演奏は、逆にとても面白く聴けます。

間奏曲は若干スケール感を持たせ、各楽器も十分謳わせている感じがします。


録音 ☆☆☆☆ (評価は5つ星が満点です)


室内楽らしい見通しの効いた録音です。S/N比も良好で、「ブルックナー・パウゼ」を十分楽しめます。

各楽器の定位も、適度の響きの交わりがありながらもしっかりしており、粒立ちも丁度良い感じです。

残響も丁度良く、チェロの響きも豊かです。

若干、ヴァイオリンが細い気もしますが、間奏曲ではそんなことも感じませんので、これは演奏上の意図かもしれません。


輸入盤として、まだ発売しているようです。(画像をクリックしていただくと、HMVの当該サイトへリンクしています)