(今回も、私小山田が感じたことを雑多につづっていきます)

 

79.6.be動詞はイコールではない6

 

ここで、「措定文」「指定文」「倒置指文」をまとめます。元々、三上(1953)によって提唱され、上林(1988)や西山(2003)が発展させた「AはB」構文の分類です。

 

a.措定文(特定の指示対象が主語に来て、属性が述部に来る)

1.ジョンはリーダーだ。

2.John is a leader.

 

b.指定文(肩書きが主語に来て、それを持つ特定指示対象が述部に来る)

3.リーダーはジョンだ。

4.The leader is John.

 

c.倒置指定文(特定の指示対象が主語に来て、肩書き述部に来る)

5.ジョンがリーダーだ。

6.John is the leader.

 

aの場合、次のように倒置させることは出来ません。

 

*7.A leader is John.

 

これは、英語では、定義文(ある単語の概念を説明する)以外は、不定冠詞のaやanから始まる文は好ましくないということからも妥当です(「情報構造」の原則として、文は旧情報から新情報への流れが好ましいということがあります)。

 

日本語の場合、主語の後ろに来る助詞「は」と「が」の区別がありますが、英語の場合は、aとcで見られるように、不定冠詞か冠詞で区別が可能になります。

 

be動詞を使って英訳する際には、情報の新旧など伝えたい内容をふまえた形で冠詞など形式にも注意を払う必要があります。

 

 

※今回で、いったんbe動詞の話題を終了しますが、今後も気付いた点があればまた話題に載せます。

 

 

参考

上林洋二(1988)「措定文と指定文一ハとガの]面一」『文芸言語研究・言語篇(筑波大学文芸・言語学系 〔編〕)』14:57-74

三上章(1953)『現代語法叙説』刀江書院(1972、くろしお出版で復刊).

西山佑司(2003)『日本語名詞句の意味論と語用論―指示的名詞句と非指示的』ひつじ書房.