(今回も、私小山田が感じたことを雑多につづっていきます)
79.3.be動詞はイコールではない3
前回、be動詞を挟んで主語と述語を交換しても通じる中身解き文(安井、1980:53)を扱いました。中身解き文は、レッテル(the leaderなど役割)がわかっていて、その具体的な人物や名称(中身)を述べる場合の文です。
では、中身が分かっていてレッテルが分からない場合はどうでしょう。
安井(1980)とHalliday(1967)に従うと、「形(レッテル)解き文(encoding)」となります。
1.Which is John?
この疑問文に対しては、次のように2通りの答え方が出来ます。(太字も原著者による)。
2.The leader is John.
3.John is the leader.
2は作用文(疑問詞の答えすなわち新情報を主語にした形)、3は受容文(疑問詞の答えすなわち新情報以外が主語)です。
これまでの議論をまとめると、“John is the leader.”という文は、次の4通りの役割を果たします。
(1)中身解き作用文
(2)中身解き受容文
(3)形(レッテル)解き作用文
(4)形(レッテル)解き受容
そうすると、そもそも次の2文の違いはどうなるでしょうか。
4.The leader is John.
5.John is the leader.
両者にJohnが主語となる“Which is John?”の疑問文が想定されると、4は中身解き受容文で、5は中身解き作用文となります。
また、Whichが主語となる“Which is John?”の疑問文が想定されると、4は形(レッテル)解き作用文で、5は中身解き受容文となります。
参考
Halliday M.A.K. (1967) Notes on transitivity and theme in English, part 2. Journal of Linguistics 3: 199-244.
安井泉(1980)「英語のbe動詞の多義性-四つのbeの等質性と異質性」『英語学 (23)』 p40-67