(今回も、私小山田が感じたことを雑多につづっていきます)
70.1.動名詞もto不定詞も目的語に取れて意味がほぼ同じとされる動詞のニュアンスの違い
動詞の目的語が同じ動詞の場合、to不定詞のみ(want, decideなど)か動名詞のみか(avoid, escapeなど)、もしくは両方取れても意味が異なったり(try, forget, rememberなど)、同じでもあまり変わらない(like, startなど)、という場合があります。丸暗記で覚えるという手もありますが、ニュアンスの違いを踏まえたほうがより覚えやすくなります。
今回は、見過ごされがちですが、likeやbeginなどのように、to不定詞も動名詞も両方目的語になる動詞についてみていきます。
(1)I like cooking.
(2)I like to cook.
この2文は、「私は料理をするのが好きです」という意味で、日常会話ではどちらを使用しても問題はありません(特にアメリカ英語では)。
ただ、「形が違えば意味が違う」という観点から見れば、この違いにも何かニュアンスの違いを探る姿勢が重要です。
では、to不定詞と動名詞(ing)はどういうニュアンスの違いがあるのでしょうか。
実はこのこと踏まえておくと、目的語が不定詞のみや動名詞のみの動詞も容易に把握出来ます。次のように考えてみましょう。
(a)to不定詞…未来志向、未実行(一般論の場合もあり)
(b)動名詞…活動としての出来事
そもそも、不定詞の前に付くtoは、前置詞のtoと同じく「方向性」を表わします。つまり「これから~する」という含みがあります。
(3)He wants to sing.
(4)I decided to go home.
これらの文は、(3)が「これから歌いたい」、(4)が「これから(発話時点以降)帰宅することを決めた」というニュアンスになります。一方、
(5)We will enjoy having the party.
(6)They avoided leaving the office.
これらの文は、(5)が「(活動的な)パーティーを楽しむ」、(6)が「退社する(という活動)を避ける」という意味合いになります。
ここから考えると、(1)と(2)も、
(1)’料理という活動が好きである。
(2)’(これから)料理をしてみたい。
というニュアンスの違いが出て来ます。同じようにbeginも、
(7)The sun began shining.
(8)The sun began to shine.
では、(7)が「太陽が輝き始めて(活動的に)パッと光り輝いた」(輝き始めて段々明るくなっていく様子)、(8)が「太陽がまさに輝き始めようとしてた」(輝き始める時点に焦点を当てている)というニュアンスになると言えます。
なお、心理動詞(think、feelなど)の場合や、進行形の場合は、to不定詞を使用します。
(9)She started to think of him.
(10)I am beginning to like it.
その他、次のように「趣味活動として好きな場合」と、「これから(発話時点以降)することを好まない場合」は、使い分けが必要です。
(11)I like walking every morning but I don't like to walk in the rain.
この項、RAVCO参照。