(今回も、私小山田の感じたことを雑多に綴っていきます)
48.there構文とは
前回、be動詞が「何らかの場に存在する」、つまり、be動詞は「いる」「ある」という根本の意味があることを述べました。
そこで、「いる」「ある」と言えば、there構文が思い出されます。
a.There is a book on the desk.
「このthereは何だろう」と考えいたことのある学習者も多いはずです。thereには、「そこに」という意味もあり、次のような文もありえます。
b.There is a book there.
ところが、次の文は非文とされます。
c.*There is the book on the desk.
日本語では、
a1.一冊の本が机の上にあります。
b1.その本が机の上にあります。
のように言うことは可能です。
さらに、次のような違いがあります。
d.There is a book on the desk.(=a)
e.*A book is on the desk.
f.*There is the book on the desk.(=c)
g.The book is on the desk.
以上の4文からわかることは、次の4つです。
(1)「there+be動詞」に続いているのは、「不定冠詞a+名詞」
(2)「there+be動詞」に、「定冠詞the+名詞」は続けられない
(3)文頭に主語として「不定冠詞a+名詞」を置くことは出来ない
(4)文頭に主語として「定冠詞the+名詞」は置けない
これはなぜかというと、文の流れには「旧情報から新情報へ」という原則があるからです(久野、1978)。概略、「旧情報」とは既に先行する文脈や場面でわかることで、「新情報」は初めて出て来た話題です。
eのように、定義文(注1)でもない限り新情報から始まると唐突なので、dのようにthereを冒頭に置くことで、「これから新しい情報(話題)を話します」というシグナルになります。
一方、fのように既に分かっている旧情報の文でthereに使うのは、特殊な場合を除いてありません(注2)。gのように主語として通常の文を作ればいいのです。
注1:定義文とは、「A pen is an instrument for writing or drawing with ink.(ペンとは、インクを使って文字を書いたり絵をかく道具である)」というように、「~とは」という説明文。
注2: There was the tallest student in my classroom at the party last night.(昨夜のパーティーに私のクラスで一番背の高い学生が来ていました)のように、最上級でのtheがついた名詞でも文脈から予測出来ずに新情報となる場合など、there構文でもtheが使用出来る場合もある(久野&高見、2004)。
参考:
久野暲(1978)『談話の文法』大修館書店.
久野暲、高見健一 (2004)『謎解きの英文法 冠詞と名詞』くろしお出版.
48.there構文とは
前回、be動詞が「何らかの場に存在する」、つまり、be動詞は「いる」「ある」という根本の意味があることを述べました。
そこで、「いる」「ある」と言えば、there構文が思い出されます。
a.There is a book on the desk.
「このthereは何だろう」と考えいたことのある学習者も多いはずです。thereには、「そこに」という意味もあり、次のような文もありえます。
b.There is a book there.
ところが、次の文は非文とされます。
c.*There is the book on the desk.
日本語では、
a1.一冊の本が机の上にあります。
b1.その本が机の上にあります。
のように言うことは可能です。
さらに、次のような違いがあります。
d.There is a book on the desk.(=a)
e.*A book is on the desk.
f.*There is the book on the desk.(=c)
g.The book is on the desk.
以上の4文からわかることは、次の4つです。
(1)「there+be動詞」に続いているのは、「不定冠詞a+名詞」
(2)「there+be動詞」に、「定冠詞the+名詞」は続けられない
(3)文頭に主語として「不定冠詞a+名詞」を置くことは出来ない
(4)文頭に主語として「定冠詞the+名詞」は置けない
これはなぜかというと、文の流れには「旧情報から新情報へ」という原則があるからです(久野、1978)。概略、「旧情報」とは既に先行する文脈や場面でわかることで、「新情報」は初めて出て来た話題です。
eのように、定義文(注1)でもない限り新情報から始まると唐突なので、dのようにthereを冒頭に置くことで、「これから新しい情報(話題)を話します」というシグナルになります。
一方、fのように既に分かっている旧情報の文でthereに使うのは、特殊な場合を除いてありません(注2)。gのように主語として通常の文を作ればいいのです。
注1:定義文とは、「A pen is an instrument for writing or drawing with ink.(ペンとは、インクを使って文字を書いたり絵をかく道具である)」というように、「~とは」という説明文。
注2: There was the tallest student in my classroom at the party last night.(昨夜のパーティーに私のクラスで一番背の高い学生が来ていました)のように、最上級でのtheがついた名詞でも文脈から予測出来ずに新情報となる場合など、there構文でもtheが使用出来る場合もある(久野&高見、2004)。
参考:
久野暲(1978)『談話の文法』大修館書店.
久野暲、高見健一 (2004)『謎解きの英文法 冠詞と名詞』くろしお出版.