54.1.streetとavenue ほか
私が旧制中学校1年生の時、時々真面目な顔で冗談を言う英語教師(一橋大学出身)が、「英語では、road[ロウド]と言う。道路(どうろ)を逆に言えば [ロウド]、これでいいんだ。だから、忘れることもないでしょう…」と言われたことを、70年以上たった今でも今でも思い出せる(roadと関係ないが、その先生は「動詞 say の3・単・現の形は [セイズ]とは発音せず [セズ]だよ」と言われたことも思い出す)。
大学で英語を専攻し、まず高校英語教師になってネイティブスピーカーとの交際の機会も増えて来た頃、ある時、road と streetの一般的違いについて尋ねると、次のように解説してくれた。
「roadは都市の中の通りではなく、田園地帯に造ったもので、それが都市に入ると、streetになる。なお、streetは道路の部分だけでなく、その左右の建物があることを意識した語である」
米国の大都市の地図(市街圏、street map)を眺めていると、<~ street>の他に<~ Avenue>というものである。そう言えば、占領下の東京(1945~52)では、GHQが主な通りに英語名を付けて、ところどころにその通り名を掲げていた。2、3例を挙げてみる。
「国道1号線」 Route 1
「靖国通り」 Yasukuni Avenue
「明治通り」 Meiji Avenue
「青山通り」 Ginza Street
「大窪通り」Ohkubo Street
私は、米軍当局によってつけられたこういう英語名を見ていて、street以外にavenueという語があること、そして、通りの規模から言うと、avenueのほうが長い距離をカバーし、その幅も広い、と帰納したのである。
後年初めて米国を訪れた時、向こうでもこの使い分けは大体同様であったが、この他に大通りで<~ Boulvard>(並木通り)というのもある。LA市の Sunset Boulevard は有名である。
[付] avenueにしろ、boulevard にしろ、その綴り字、その響きからフランス語の語彙であると見当がつく。17世紀、18世紀に英語に入ったもの。
New York Cityのマンハッタンは南北に細長い島であるが、ここの市道は、実に計画的に出来ている。幅の広い南北に長い通りは avenue であり、それほどではないのは street ということになっている。
以上の avenue、boulvard、street の他に、それより細長い(そしてしばしばより短い)小路には、crescent place、Maple Lane、Shady Alley、Cedar Crescent などという語が使われている。
[注]注目すべきことは、私の体験の範囲では、英、米、加、豪、NZ、仏、独などでは、全ての通りに(住宅地区も含めて)名前がつけられているのである(そしてその全部を示す細密な詳しい地図が出来ていて、昔はガソリンスタンド(gas station)などで無料で入手できたものである)。
私が旧制中学校1年生の時、時々真面目な顔で冗談を言う英語教師(一橋大学出身)が、「英語では、road[ロウド]と言う。道路(どうろ)を逆に言えば [ロウド]、これでいいんだ。だから、忘れることもないでしょう…」と言われたことを、70年以上たった今でも今でも思い出せる(roadと関係ないが、その先生は「動詞 say の3・単・現の形は [セイズ]とは発音せず [セズ]だよ」と言われたことも思い出す)。
大学で英語を専攻し、まず高校英語教師になってネイティブスピーカーとの交際の機会も増えて来た頃、ある時、road と streetの一般的違いについて尋ねると、次のように解説してくれた。
「roadは都市の中の通りではなく、田園地帯に造ったもので、それが都市に入ると、streetになる。なお、streetは道路の部分だけでなく、その左右の建物があることを意識した語である」
米国の大都市の地図(市街圏、street map)を眺めていると、<~ street>の他に<~ Avenue>というものである。そう言えば、占領下の東京(1945~52)では、GHQが主な通りに英語名を付けて、ところどころにその通り名を掲げていた。2、3例を挙げてみる。
「国道1号線」 Route 1
「靖国通り」 Yasukuni Avenue
「明治通り」 Meiji Avenue
「青山通り」 Ginza Street
「大窪通り」Ohkubo Street
私は、米軍当局によってつけられたこういう英語名を見ていて、street以外にavenueという語があること、そして、通りの規模から言うと、avenueのほうが長い距離をカバーし、その幅も広い、と帰納したのである。
後年初めて米国を訪れた時、向こうでもこの使い分けは大体同様であったが、この他に大通りで<~ Boulvard>(並木通り)というのもある。LA市の Sunset Boulevard は有名である。
[付] avenueにしろ、boulevard にしろ、その綴り字、その響きからフランス語の語彙であると見当がつく。17世紀、18世紀に英語に入ったもの。
New York Cityのマンハッタンは南北に細長い島であるが、ここの市道は、実に計画的に出来ている。幅の広い南北に長い通りは avenue であり、それほどではないのは street ということになっている。
以上の avenue、boulvard、street の他に、それより細長い(そしてしばしばより短い)小路には、crescent place、Maple Lane、Shady Alley、Cedar Crescent などという語が使われている。
[注]注目すべきことは、私の体験の範囲では、英、米、加、豪、NZ、仏、独などでは、全ての通りに(住宅地区も含めて)名前がつけられているのである(そしてその全部を示す細密な詳しい地図が出来ていて、昔はガソリンスタンド(gas station)などで無料で入手できたものである)。