34.(2)(a) rest room
名詞 rest には高校生なら誰でも知っているように、「休息」といった意味の場合と、「残り」(「その他のもの」)という意味の場合とがある。a rest roomの場合は、もちろん「休息」の意味のrestである。他にも、よく使われる take a rest といったフレーズがあり、rest area(高速道路の休憩所)という語がある。
(a) rest room は個人宅ではなくて学校やデパートやその他の公共の建物の中にあるもので、「休息室」などというものではなく「トイレ」のことである(トイレのことを bathroom)と言い、人によっては公共の建物の中のもこう呼んでいる英米人もいることは、既に33.(5) でとり挙げてある)。
次に紹介するのは、rest room についてその意味を誤解して妙なことになってしまったある高校英語教員のことである。
私は昭和33年(1958年)~34年(1959年)、文京区竹早町にある東京学芸大学付属中・付属高で教えていたことがある。付属校での授業は、(当時はそういう名称はまだ存在していなかったが)「ティーム・ティーチング」であって、米国からの英語教師Mrs. Mと二人で生きた英語を教えたものである。
ある時私が付属中の教官室にいた時、付属高の英語教員(東大出身)から内線電話がかかって来て、「小笠原先生、ちょっと困ったことになっているんでhelpしてよ。M先生がrest roomがどこにあるか教えて、と言うもんだから、私は『保健室』に連れて行ったら、『No. No. No』って言うんですよ。私はすっかり混乱しているんですよ。どうしたらいい?」とのこと。
私は苦笑しながら、「rest room とはトイレの別名ですよ。だから女子トイレの前まで連れて行ってあげて」と教えてあげたのであった。
[付] 公衆トイレの入口の配置と表示
米国の駅や空港などでは「トイレ」の「ト」の字も示してなくて、ただ Men's Room/Ladies's room と入口に示してある。Men's の代わりに時に Gent's と示しているのもある。また男性用トイレと女性用トイレの出入口の位置をただ左右に分かれているだけだと、し終わった男性女性が顔をあわせて気まずい思いをしないように、ずっと離した位置に配置されていて、その心遣いはさすが先進文明国である。