(3)廊下に当たる英語は?


私の記憶をたどってみても、旧制中学校、旧制高校、大学で私が受けた英語の授業で「廊下」に当たる英単語が出てきたことはなかったように思う。建物の中の rooms の名称などは何回も出てきたのであったが、卒業後何かの機会に corridor という語に出会って、「廊下=corridor」という等式が私の頭の中に出来上がってしまったのである。

「廊下」のことを hall や hallway とも言う。いや、日常語ではこの方がより頻繁に使われていることを体験したのは、戦後数年都内に駐留していた米軍の関連施設や、米国時宣教師宅のバイブル・クラスに出席した時などであった。

front doorを入ったところが、いきなり living room である家もあるが、多くはそこがちょっとした板の間になっていて、そこがいわゆる entrance hall で、それが少し狭く細長くなって奥の間なり2階への会談へとつながっていくのである。

後に corridor と hall(way)との意味用法上の違いについてネイティブスピーカーに訊いてみたところ、 corridor は公共の建物の中の広くて長い廊下のことを指し、hall(way) は家庭の中や寄宿舎やホテルなどの廊下を指すことが多い、と言われた。

日本語では、「ホール」と言うと、「朝日ホール」「日経ホール」「草月会館ホール」「ダンスホール」など、大広間や講堂、広い催事場のイメージがある。


[付] go down the hall


これは本稿の後の回で正式に取り上げるつもりであるが、日常非常によく使われているにもかかわらず、私の教えていた大学の多くの学生たちは、意味が取れずにいたのである。

「(この)廊下をずっと行く」ということである。



(4)show you around in my house


米国で何回かホーム・ステイしたことがあるが、その家に着くと、ホスト役のご主人かホステス役の夫人が、“Here we are. Let me show you around in the house.” と言って家の中を一通り案内してまわるのである。中には、“Now, you will have a guided tour in the house.”とユーモラスに言う人もいる。