28.1.trade[動詞][名詞]



この語も一度は(あるいは一度ならず)辞書(英英辞典)で、その語源、意味(多義であるがその基本義)、用例文 etc.をチェックしてみる必要がある。

この語のごく普通に使われている意味は<商取引をす、物品などを買ったり売ったりする(こと)>である。

なお、domestic tradeは、単に国内での商取引のことであるのに対し、外国との商取引、つまり「貿易」はforeign tradeと表していることが多い。




28.2.Mitsui and Companyという英語らしい社名


私はこの社名を中学2年の時からよく見ていた。というのは、私の隣に座っていたクラスメイトの家が日比谷公園の中にあって(レストラン)、そこへ遊びに行った帰りとか、NHK(当時のJOAK、東京放送局)は日比谷公園の隣の内幸町にあり、私の母方の伯父服部愿夫(よしお)が東京放送局の初代(大正13年、1924年)放送局長(今の会長)であったので、母に連れられてよく伯父の部下で出生して幹部になっていた人たちのところに連れて行ってもらった帰りに、隣にあったこの“Mitsui and Company”という社名を見ていたものである。


この会社とは、歴史ある三井物産(1876年[明治9年]創立)のことであり、三菱商事(1918年[大正7年]創立)に先んじて出来たものであり、だからこそこのきわめて英語らしい英語名を持っているのである。

とは言え、戦時中に中学低学年(1、2年)に英語を学んだものとしてこの“Mitsui and Company”という会社名を見た時、“Mitsui Company”ではないのかと、ちらっと思ったりして、それっきりにでいたのであった。


ところが、後年私が大学文学部3年次の時、「イギリス文学史」という講義の中で、話しがエリザベス朝の世界的作家 William Shakespear(1546~1616)になった時、シェイクスピアは劇作家であるとともに、劇団を組織していたのであるが、それを Shakespear and his Companyと称していた。「シェイクスピアとその一座」ということでしょう、と言われたのである。


この時、私はとっさに“Mitsui and Company”という社名を思い出し、合点がいったのである。companyとは、「会社」である前に「仲間」とか「同志」ということであるから、「三井氏とその仲間」ということであり、三井氏が主たる出資者であり、これに賛同したその仲間(同志)たちが加わって発足させたもの、それが「三井物産」ということである、と合点がいったのである。


つまり、“Mitsui and Company”は、“Mitsui and his Company”が略されたものということになる。いずれにしろ、きわめて英語らしい名前であり、また「会社」という日本語にはあまり感じられない人間性というか人間要素が company には感じられるのだ、と私は分かったのである。つまり companyは単なる人が働いている場所ということではないのである。だから「勤めている」「働いている」意味の動詞 work の直後には、<at+場所>よりは<for+~ company>の形が使われているのだと合点がいったのである。