16.5.(а) 「マンション」とmansionは大違い/「マンション」に当る英語はapartmentsである。

 英語ではmansionは〈広大なお屋敷(大邸宅)〉のことであり、もちろん一戸建てである。

 日本でいう「マンション」は集合住宅のことだから、 apartment(s) か apartment building を表わしている。


 16.5.(b) a block on the streetというもの

 私が建物、特にコンクリート、煉瓦、石などでできた建物群とその前の通り、その左右の通りがある…という状況を描写する英語表現を知ったのは、戦後2、3ヶ月たった頃であった。

 あの戦争が終わったというのに、私たち都立九段中学校4年生А組は、丸の内の東京中央郵便局での勤労動員が解除されず、昭和20年(1745)に敗戦となり、9月始めには米国軍が占領軍として進駐してきて、丸の内、日比谷、大手町、霞が関一帯のビルに駐屯し始めて、米国の軍人や文官の米国人が、数百人動きまわっていた。

 彼らはきわめて friendly (→ 1.5.)で、したがって私など機会をとらえては、戦争中学校で習った英語で会話を試みたが、それでたいてい通じたのである。

 彼らとの英語でのやりとりで、一つの交差点( intersection )から次の交差点までの間の建物群のことを、 block と表わせばよいことを知った。

 またその頃、別の機会に保育園や幼稚園にある「積み木」の一つ一つのことを、英語では block と言うことも知った。つまり block には「塊り」のことであると知ったのである。

 交差点から交差点までの間の建物群は建物の「塊り」でもあるから block というのだと分かったのである。

 walk three blocks / the shop is in the next block