12.1 「交際している」/「交際」(1)
昭和23年(1948)頃に旧制高校や旧制専門学校、あるいは大学予科を受験した者は、いわゆる受験英語に対処するために英単語、英文法、英文和訳、和文英訳などに力をそそいだものである。そういう英単語の中にinetercourse = 「交際」というのがあった。それで「交際する」 = have intercourse であることも覚えてしまったものである。
大学文学部に入学。英語を専攻し大学3、4年次の頃は英米人の友人もできて、その人達と会うと、自分の書いた英語を見せて直してもらったりしていた。ある時、 have intercourse という表現を使ったところ、相手の米国人は intercourse という語は「男性と女性の性行為等を表わす語で、危ない単語であるから口にしてはいけない語であることを知ってほしいという忠告を受け、唖然としてしまったものである。
その後、すぐにその頃使っていた2、3の英英辞典に当ってみたものの、 ”social relationship between individuals,societies,nations,etc.” などとあって、<性的関係を表わす>などとは記してはいなかったのである。しかし数人の英米人が性行為をあらわすことがあると教えてくれた以上、私は辞書の記述が遅れているのだと考えたのである。
では「交際している」というのは、英語ではどう表わしたらよいのであろうか。
12.2.「交際している」/「交際」(2)
intercourse という語を避けた英語表現としてはいくつかあるので、そららを列挙してみる。
A go out with B / A and B often go together / A and B often see one another / A and B often associate with one another など。
12.3.get together
「一緒になる」「一緒に時間をすごす」といった意味で、口語体英語で非常によく使われているフレーズである。
12.4.(а) company;companion
この2つの語は形が似ているので、語源的には関連しているはずと見当をつけて、英英辞典、それも語源情報をのせているものでチェックしてみたことがある。するとやはり関連していて、まず意味的にはいずれも<仲間>ということであるが、いずれもラテン語 companio(аとoの上には棒をつける) が古期フランス語を経て13世紀頃、中期英語に入ったもの。
その語源的意味が極めて興味深いのである。
companio ← com(=together) + panio(=bread)
panio はラテン語(panio)では「パン」のことである。
つまり、 company も companion ももともとは<一緒にパンを食べる仲間>ということである。すなわち〈一緒に飲み食いする間柄の人たち〉ということである。
[注]この意味の company は〈間柄〉に視点がいっているので、[U]名詞(数えられない名詞)であるからаをつけたり、複数形にしたりはしない。
[注2] company というと「会社」の意味しか知らない日本人が多いようだが、「会社」はもともと同志[仲間]が集まって始めたものだからである。
12.4.(b) company を含む諸表現(フレーズ)
keep 人 company (一緒にいる / ともに時間を過ごす)
I like to keep you company on weekends.
(週末はあなたと一緒にいるのが好きです。)
keep good company (いい間柄でいる / いい人と友人でいる)
You should always keep good company.
be good company ; be bad company (善良な仲間 / 悪友同志でいる)
come ( go ) in company (一緒に来る / 行く)
Tom came in company with his old friends.
part company with~ (~と別れる / 仲間からなる)
ここでの part は、動詞(別れる)。
[比] a good companyとgood company
私が目にとまると、買って集めた英米刊の児童書(含絵本)は数十冊になるが、その中にGood Companyというタイトルの本がある。英米の小学校1、2年のレベルの本であろうか。この本が目に止まった時、このタイトルから、その内容を想像と言うか、大体の見当をつけてみたのである。
a good company と a がついているなら、「良い会社」のことであるが、a がついていないから、友好的間柄ということであり、しばしば「仲間」と訳されているほうのcompanyである。そこで手に取って頁をくってみると、子ども同士か、子どもとペットの絵が何枚も描かれているのであった。