カタカナ英語は、そのまま使っても通じなかったり、誤解を与えたりするものがたくさんあります。
今回は、そのような例を、音楽関係でいくつか挙げていきます。
a. タクト → button
これは、オーケストラの指揮者が「タクトを振る」という表現で使い、
そこから転じて「指示を与える」というように、比喩的に使われます。
英語でtactと言うと、「機転、如才なさ、気配り」の意味になるので、この場合はbuttonです。
バロック以前の指揮者は、今のような指揮棒ではなく、
太い棒(button)で、地面を叩いて拍子をとりながら指揮をしていました。
ある時、うっかり自分の足にその棒を打ち付けてしまい、
その怪我から化膿して亡くなった指揮者がいるので、
今のような指揮棒を使うようになったと言われています。
b. コーラス → choir
古代ギリシャ時代、野外劇場で上演された劇中で歌った合唱隊「コロス」に起源を持つ言葉です。
劇場の舞台の前面に出て歌うのが、表記のchoirで、
chorusは、舞台の後ろで歌う合唱隊のことを指します。
ちなみに、舞台の一段低い場所で演奏をしていた「オルケストラ」が、
現在のオーケストラ(管弦楽団)の起源です。
c. ライブハウス → live music club
ポップスやロック音楽の演奏会場を、「ライブ・ハウス」と呼ばれますが、
そのまま live houseとすると、「生の家」という変な意味になります。
表記のように live music clubか、special house for live musicが良いでしょう。
d. ダンスパーティ → a dance
ダンスパーティを、dance partyと言っても、通じないことはありませんが、
Shall we go to a dance?(ダンスパーティーに行きませんか)というように、
簡単に a danceだけで通じます。
なお、「音楽に合わせて踊る」は、
d-1. dance to music
となり、withではありません。「カラオケに合わせて歌う」も
d-2. sing to karaoke
になります。