ある牙の見る夢
日が沈む。
西の彼方のわずかを朱に染め、安息の時が迫る。
僕が求めるのは烈日であり、憩いではないのに。
世界は僕にとっては寒い。他の誰かにとっては暖かい世界なのか、凍える僕の脳では識別できない。
空を見上げる癖がついたのはいつからだろう。都会特有のくぐもった狭い空なのに。
何かを見たいのではなく、きっと現実を見ないためにしているんだとは気づいている。それでももしこの空に何か、何でもいい、僕が見なければいけないものが輝くときがくるとしたら、それを逃したくはない。
軸を失いながらさまよい続ける街が奏でる不協和音に、ゆっくりと呑み込まれて行く。
ため息が一つ、白く小さくこぼれた。
帰ろう。
僕の見えないところで、太陽に追われたカラスがささやかに瞬いた。
西の彼方のわずかを朱に染め、安息の時が迫る。
僕が求めるのは烈日であり、憩いではないのに。
世界は僕にとっては寒い。他の誰かにとっては暖かい世界なのか、凍える僕の脳では識別できない。
空を見上げる癖がついたのはいつからだろう。都会特有のくぐもった狭い空なのに。
何かを見たいのではなく、きっと現実を見ないためにしているんだとは気づいている。それでももしこの空に何か、何でもいい、僕が見なければいけないものが輝くときがくるとしたら、それを逃したくはない。
軸を失いながらさまよい続ける街が奏でる不協和音に、ゆっくりと呑み込まれて行く。
ため息が一つ、白く小さくこぼれた。
帰ろう。
僕の見えないところで、太陽に追われたカラスがささやかに瞬いた。