3.パリの本屋さんめぐり | 文学どうでしょう

文学どうでしょう

立宮翔太の読書ブログです。
日々読んだ本を紹介しています。

パリでの最も大きな目的は、本屋さんを見てくることです。

日本でもフランス語の原書は手に入るんですが、パリの本屋さんで、どんな風に本が並べられているのか、どんな本が人気があるのか、バンド・デシネはどのような扱いなのか、を実際に見てみたかったんですね。

その辺りをかなり堪能してきました。面白かったです。パリの旅の中で一番テンションが上がりました。

セーヌ川にそって、古本屋みたいなのが結構並んでいました。

文学どうでしょう


こんな感じです。写メがちょっと暗くてすみません。この辺りも色々覗いたりしましたよ。

駅からのアクセス面や、本屋以外の店も寄れるというメリットを考えると、結構よいのは、ギャラリー・ラファイエットというデパートの中にある本屋さんだろうと思います。こんな雰囲気です。

$文学どうでしょう


結構広いです。本の背表紙に値札のシールが貼ってないことが多くて、「何ユーロだよ!」と思いながらうろうろしていると、棚に早見表みたいなものが貼ってありました。

出版社と本に書かれている番号を組み合わせると、値段が分かる表です。フランスでは、これが一般的なのかと思っていたら、他の店では普通に値札が貼ってあったりもしました。

新刊コーナーでよく見かけた日本の小説は、伊坂幸太郎の『重力ピエロ』の仏訳です。石田衣良の小説なんかもよく見かけました。

日本の小説の仏訳は、日本人っぽい人が写っている写真が表紙のことが多くて、なんだか独特な雰囲気がありますね。

あとは村上春樹の『1Q84』の2巻がベストセラーのランキングに入ってました。

日本の文学作品というのは、「ASIA」のコーナーにあって、中国辺りと一緒に置かれていることが多かったです。

ギャラリー・ラファイエットはオペラ座の裏側にあるんですが、オペラ座からルーブル美術館にかけての大通りに、いくつかの本屋さんがありました。

オペラ座からルーブル美術館に向かって歩いていって、どこかしらを右にちょっと入ったところにジュンク堂があります。

文学どうでしょう


日本のジュンク堂で、扱っているのもほとんどが日本の本や漫画です。折り紙や、マンガを描く道具などが置かれているのが特徴というところでしょうか。

大通りに戻ると、マカロン屋さんの隣にこんな本屋さんがありました。

文学どうでしょう


入ってみると、本のタイトルとか、見たことのある本が置いてあるんですよ。おかしいなあと思ったら、アメリカの本屋さんでした。つまりフランス語の本ではなく、英語の本が置いてあるところなんですね。

本だけではなく、雑貨のようなものがたくさんあって、かなり興味深いお店でしたよ。帰りがけに隣のお店でマカロンを買って食べました。

大通りをルーブル美術館にむかってぐんぐん歩いていくと、コメディ・フランセーズの前に、こんな本屋さんがありました。

文学どうでしょう


コメディ・フランセーズのそばにある本屋さんだからか、戯曲が数多く置いてありました。井上ひさしの戯曲の仏訳も置いてありましたね。

オペラ座界隈はこんな感じです。それからどこかぷらぷら歩いている時に見つけたのがこの本屋さん。ちょっと具体的な場所はよく分かりません。

文学どうでしょう


おそらく出版社が持っている本屋さんで、1つの出版社の本が並べられていました。地下には他の出版社の本も置いてあります。

日本の作家では、三島由紀夫と安部公房の作品が結構ありました。

ここからはカルチェ・ラタン周辺です。本屋さんを探すなら、カルチェ・ラタン周辺は結構おすすめです。学生街なので。

文学どうでしょう


この建物がなにか分かりますか。正解はソルボンヌ大学です。ソルボンヌ大学のすぐ目の前にある哲学専門書店がこちらです。

文学どうでしょう


当たり前と言えば当たり前の話ですが、ドイツのレクラム文庫など、ドイツ語の原書も置いてありました。フランス語ができるのにドイツ語まで勉強しようとするとは、ソルボンヌ大学の学生恐るべしです。

すごく知的好奇心が刺激される場所でした。フランスはいたるところにカフェがあって、寒いのに外の座席でみんな楽しそうに話をしているんですよ。

日本人はわりと向かい合って座ることが多いと思うんですが、結構みんな隣り合って座っているんです。そしてしきりに話をしています。

なにを話しているかまでは分かりませんし、単なる世間話みたいなことかもしれないんですが、歴史のある建物に囲まれて、哲学の話なんかしてたら、それはすごく素敵なことだと思います。

ソルボンヌ大学の前の坂を降っていくと、かなり大きな本屋さんがあります。

文学どうでしょう


3階か4階くらいあって、古本も一緒に並べられているのか、新刊の本と値下がりした本が同じ棚に並んでいたりしました。値下がりした本は結構ボロかったりしますが、安いのはなによりいいですよね。

店の外で、本を安く売ったりしていたので、バンド・デシネを10冊くらい買いました。1冊1ユーロです。

文学どうでしょう


バンド・デシネというのは、簡単に言えば、フランスのマンガのことです。バンド・デシネ専門書店にも何軒か寄りました。

フランスのマンガコーナーは、3分の1くらい、日本のマンガが置いてあります。これは本当にすごいことですよ。「こんなマンガまで仏訳されてるのか!」と思うようなマイナーなものまで訳されています。相当人気があるんでしょう。

『ONE PIECE』など少年マンガが人気なのは言うまでもないですが、ワインをテーマにした『神の雫』なども人気があるようでした。

本来、バンド・デシネはグラフィック・ノベルなどアメコミに近く、日本のマンガとは正反対のもののはずなんです。向いている方向性が全然違います。それがここまで受け入れられているのは、正直驚きでした。

あとは、『タンタンの冒険』は結構どこでも置いてありましたね。ぼくもちょっと欲しいなと思ったんですが、シリーズが結構ありますし、迷った挙句、結局買いませんでした。

4日目の最終日、fnacというチェーン店にはぜひ寄りたいなと思い、フォーラム・デ・アールというショッピング・モールにある店舗に行きました。

文学どうでしょう


fnacというのは、本屋さんとCD屋さんと電気屋さんが一緒になったようなチェーン店ですが、ぼくは日本にいる時から、名前だけはよく知っていたんです。

それがなぜかというと、fnacは電子書籍端末を出していたからです。kindleに似ていますが、タッチパネル式になっているというところが魅力です。店の中に置いてあった電子書籍端末に実際に触れたのが嬉しかったです。

電子書籍端末に関してですが、液晶か電子ペーパーかという2つの大きな流れがあります。iPadに代表される液晶の方がなにかと汎用性が高いので、ぼくはそちらが勝つかもしれないと思っていました。

ただ、今回旅先でiPadを実際に電子書籍端末として使ってみると、重要な問題として、「重さ」があることが分かりました。

家やカフェなど、テーブルのある環境で読むなら、iPadでも問題はないですが、ちょっとした時間にさっと取り出して読もうとするなら、iPadではちょっと重すぎる感じがします。

その点、kindleなど電子ペーパーには、手軽さの点でメリットがあります。ハードがどうこうより、圧倒的なコンテンツ不足という問題があるんですが、Amazon側にも色々動きはあるようですし、今後も電子書籍には注目ですね。

このfnacでぼくのフランス旅行は終わりました。美術館めぐりと本屋さんめぐりができて大満足の旅でした。

次またフランスに行くことがあったら、しっかりしたレストランで食事をすることを第一の目的にしたいです。今回、食事面はジャンクなものばっかりで、全然充実していなかったので。

エッフェル塔やノートルダム寺院、パンテオンなど、外側しか見ていないところの中の見学もしてみたいですね。

ユーロが余ったので、思い切って空港でハリー・ポッターの仏訳を全巻買いました。全巻持っている英語の原書すら手をつけていないのにです。まあこういう機会でもないと買えないと思うので、よしとしましょう。

文学どうでしょう


そんな感じです。おまけ的にバンド・デシネについて書いておきます。


≫4.バンド・デシネについてのページへ

≫フランス旅行記のページに戻る