金城一紀『対話篇』 | 文学どうでしょう

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対話篇 (新潮文庫)/金城 一紀

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金城一紀『対話篇』(新潮文庫)を読みました。

『対話篇』は短編集です。「恋愛小説」「永遠の円環」「花」の3篇が収録されています。

「恋愛小説」

〈僕〉がある人物の話を聞く話です。大切な人ができると、次々と死んでしまうという彼。〈僕〉自身の恋愛と彼の話が絶妙に混ざり合って、しみじみとした余韻の残る短編です。

「永遠の円環」

この短編には、上原彩子が登場します。『SPEED』に出ていた女子大生です。いわばスピンオフの形式ですね。

病気で死にかけている〈僕〉は、死ぬ前にある復讐を決意する。そんな〈僕〉の前に友人のKが現れる。〈僕〉はKに復讐を手伝ってくれるように頼む。とまあそんな話です。

「花」

こちらも病人の話というか、手術をしないといつ死んでもおかしくない〈僕〉がある仕事を頼まれて、老人と車で旅をする話です。

どの短編も読みやすく、しっかりとした構成をしているので楽しめます。語りの勢いはないですし、病気の話が多いのが微妙ですが、金城一紀のファンの方はぜひ読んでみてください。