音大卒業 といっても、プロの音楽家や音楽で生計を立てられるのは一握り。

 

いつの時代でもそう言われてきました。

 

例えば、都内の上位ランクの私立音大のピアノ科卒業者のうち、音楽のみで生計が立てられるは1学年に2人~3人程度(2%程度)、芸大のピアノ科でもその倍くらいではないだろうか(ただ芸大は1学年で25人程度しかいない)。

 

音楽家という仕事はとてもシンプル。

演奏する

教える

基本はこの二つ。それで生計が立てられる人はごく一握りの人のみという極狭の世界。。。

 

音大卒業=プロの音楽家ではない

(音大卒業というだけでプロを名乗る人はたくさんいますが)

 

実際の状況は楽器によっても進む方向(ジャンル)によってもかなり違うのですが、

 

音大を卒業すると

 

・留学する

・コツコツやっていく

・就職する

 

大きく分けるとこの三択になります。

 

留学の話は別の機会として、

 

以前は音大卒業後はみんなプロの音楽家になるべくコツコツやっていく人が多かった。ピアノであれば、自宅や音楽教室、大学などでピアノを教えながら、伴奏や室内楽など演奏の機会をもらい、結果を出していく。

 

音大とかクラシック音楽の世界だとこのイメージを持つ人は少ないですが、バイトをしながら食いつなぐ、なんていうのも当たり前です。このあたりは芸能系やスポーツ系の方々と同じではないでしょうか。

 

そして今、

 

ほとんどの人が「就職」を選ぶそうです。これはたとえ学校の教員や楽器店といった音楽系の仕事であったとしても、いわゆる「プロの音楽家」にはならないということを意味するので、結果として、音大まで進んでも音楽系ではない普通の企業に就職する人がほとんど、ということになります。

 

この状況は、今は就職難の時代ではないことも影響していますが、今の若い世代の考え方が反映されているのが大きいと私は思っています。不安定、夢を追う、這い上がる(押しのける)というニュアンスのものは好まれない時代です。

 

さらに普通の大学と同じく、今は音大への入学者数がどんどん減っています。元の人数が減り、さらに就職する人ばかりとなると、プロの音楽家になりたいという人は以前とは比較にならないほど少なくなっていく。

 

すでにこのような現状にあり、この状況はますます進んでいくと予想されるわけです。

 

ということは、これからは

 

能力があれば

プロの音楽家になれる時代!!

 

以前は競争率が激しすぎました。もし15年前の卒業生たちが今卒業したなら、もっと多くの人がプロとしてやっていけただろうし、当時はそう望んでいた人がいっぱいいました。

 

本当にプロになりたい気持ちがある人なら、これからは恵まれた時代に突入します。能力さえあれば、プロになれるわけですから。

 

しかし、実際はそう簡単にプロの音楽家になれるわけではない。

 

そのために必要なこと。

 

①覚悟

まずはここ。音楽家というのは基本フリーターのようなものですから。ここからどう這い上がっていくか。絶対成功する!という強い気持ちを持った人がやはり強いです。ここで7割くらいは脱落しそうだな笑

 

②音楽的能力

上手くいく人、成功する人、出世する人は、音大を卒業してからが凄い(能力が上がる)という特徴があります。音大を卒業=資格取った(資格はありませんが)=マスターした!!みたいな人もけっこう多いですが、プロの世界を前提とすると、音大までは序奏みたいなものです。

 

③音楽部分を除いた人間的能力

挙げればキリないですが。仕事は人と人と人、コミュニケーション能力はやはり大事です。(適切な表現ではないのですが)音楽的能力がそこまで高くなかったとしても、この部分の能力の高い人は成功できるケースも多々あります。

 

④情熱

10代までは素質や努力で結果は出ます。人から尊敬され、いい大学にも行けるでしょう。しかし、社会に出るとそれだけでは結果は全く出ないと思います。「頑張ってるのになんで上手くいかないんだろう?」と思ったら、それはきっと自己愛が強すぎるから。20代から大切なのは「情熱」。情熱というのは自分自身に向けるものではなく、誰かのために何か(仕事)をするということ。そのためにどのくらい情熱を持ち取り組むことができるか、ここが勝負。

 

⑤考え方

物事の優先順位を判別できる人は強い。中には無限に働けるタイプの人も(私の周りにも何人か)いますが、そういう猛者タイプの人は除いて、限られた時間をどう使うか、誰と一緒に組むべきか...。30代となると基本能力や人としてはほぼ完成されるため、ここから先は「考え方」が人生に強く影響してきます。

 

プロの音楽家になるのは難しいけれど、それを続けていくのももっと難しい。ようは多くの人に求められる人にならないといけないわけです。覚悟を決め、自分の能力を日々高め、明るく人と接してコミュニケーションを積極的に取り、自分以外のために情熱を持って取り組む。これを確実に実行できれば、間違いなく上手くいくと私は思います。

 

昔は音大生から「仕事したい!」とよく連絡があったものですが、中には芸高生もいましたね。今はそんなこともだいぶ少なくなりました。

 

ということで、音楽家として覚悟を決めてやっていきたいという方。特にピアノ講師やピアニスト、ヴァイオリンやチェロなどの弦楽器奏者、フルートなど、ぜひチャレンジ(ご連絡)お待ちしております。