(2022年ティーレマン指揮・シュターツカペレベルリン来日公演のブルックナー7番)
明けましてありがとうございます。本年からはブログを書く回数は減りますが、よろしくお願い申し上げます。今年も読者の方から2026年の行くべき公演について質問がありまして、書くつもりはありませんでしたが、元日のアメブロの「音楽レビュー」のランキングが1位になっていましたし、元日から2日もアクセス数が増えたのは、昨年11月の当ブログで2027年のウィーン・フィルのニューイヤーコンサートの指揮者を遊び半分で予想したところ、的中したからのようです。
そこで年始企画として、今年のおすすめ12公演を厳選みました。某クラシック音楽雑誌やWebサイトでは、音楽評論家の「来月のおすすめ」みたいなコーナーがありますが、来月と言われても人気の公演はチケット完売になっていることが多く(逆に前月の段階で埋まってないのは人気が弱いと言うことでしょう)、あまり意味のない企画だと思っていました。今回の12選はチケット販売中(=完売していない)またはこれから発売の公演にしています。投資と同じで、最終的には自己判断でお願い致します。
✳︎以下の公演情報は2026年1月時点のもので、変更になる場合があります。
【概況】
今年のおすすめ12選は当ブログの満点評価(五つ星)を期待できる公演と定義して、選びました。昨年の今頃は以下のブログで2025年のおすすめ12選を書きましたが↓、東響ものを入れ過ぎました。
友人の話だと昨年末の東響の第九は面白味があまり無かったそうで、このリストに入れたのは失敗でした。今年に関してはこれを反省し、東響の公演は入れないことにしました。新音楽監督のヴィオッティはとても才能のある指揮者ですが、マーラーをきちんと演奏できる能力があるか怪しいオケだと思います。また、ムーティに関しては底堅いファンはいるものの、近年は自己陶酔的なタクトで毎回テンポを変えるので、あまり好みではありません。スコアに忠実とする原典主義のムーティは自己矛盾をしています。4月のムーティ指揮の「ドン・ジョヴァンニ」は12選に入れるべきですが、全公演売切なので、今回のリストからは外しております。11月のウィーン・フィル来日公演も外しているのは上述の理由に加えて、ムーティの曲目に期待できないからです。ウィーン・フィルの幹部はムーティに物を申せない立場ですが、今年のウィーンでの定期演奏会はハイドンの交響曲から3曲のみで、微妙な選曲です。8月のザルツブルク音楽祭はヴェルディ「レクイエム」ですが、ムーティはこの20数年間でこの曲を4回(2002, 2013, 2019, 2026年)も取り上げており、ヴェルディ・イヤーでもないのに同じ曲を指揮し過ぎる傾向にあります。ムーティのウィーン・フィル来日公演を聴くよりは同じ月にもっと注目すべき公演があるので、筆者なら以下に挙げる公演にオールインします。最後に、7月のミョンフン指揮「カルメン」(東京フィル)は主役以外の歌手が不透明なので選外にしましたが、これまで国内外でミョンフン指揮のオペラを鑑賞した中でも、彼の「オテロ」「カルメン」「蝶々夫人」等は特筆すべきほど素晴らしく、「カルメン」第3幕でミョンフンがピットに入る時にブラボーとスタオベになっていた公演に遭遇したことがあります。
【おすすめ12選】
2月: P.ジョルダン指揮 NHK交響楽団(Aプロ)
ジョルダンは自らワーグナー指揮者と言っており、昨年のウィーン国立歌劇場での音楽監督としてのラスト公演は「指環」でした。彼は現代的な読み替え演出は嫌いなので、バイロイトの「指環」をキャンセルしたことがありますが、24年3月のベルリン州立歌劇場「指環」は読み替え演出なのですが、オケが素晴らしいので指揮することにしたと言ってました。彼の「指環」抜粋版の選曲が素晴らしく、これはN響定期の予習になる内容になっております。
5月: ポペルカ指揮 ウィーン交響楽団
昨年のポペルカ指揮のN響定期でのモーツァルトやシューマンの新鮮な解釈は秀逸でしたが、5月の来日公演では「運命」や「新世界」の名曲をどのように面白味のある表現してくれるかを注目しております。
5月: パーヴォ指揮 チューリッヒ・トーンハレ管
パーヴォはこのオケとの相性がとても良く、N響での公演では見せない別人格のように攻撃的でエネルギッシュに指揮をすることが多いです。2年前のブルックナー・イヤーでは日本で満足感のあるブルックナーは聴けませんでしたが、後述するように今年はブルックナーの名演が予想され、ブルックナー4番の演奏会は聴きものだと思います。
6月: ペルトコスキ指揮 トゥールーズ・キャピトル国立管
昨年のペルトコスキの日本デビューでのマーラーは衝撃的でしたが、彼はマーラーとショスタコーヴィッチを得意としているようですので、どちらの公演も必見です。ピアノのソリストは辻井さんですが、アンコールでペルトコスキと連弾をしてくれると嬉しいです。
9月: ルイージ指揮 NHK交響楽団 w ハーデリヒ(Bプロ)
ハーデリヒは筆者の中では世界一のヴァイオリニストだと思いますが、彼のブラームスのコンチェルトは見逃せません。しかも、この公演の数週間前にザルツブルク音楽祭で、ハーデリヒはティーレマン指揮・ウィーンフィル演奏会でもブラームスのコンチェルトを演奏します。
10月: ノット指揮 東京都交響楽団(A定期・B定期)
今年はブルックナーの良い公演が多いので、ノット指揮によるブルックナー6番もおすすめ公演に入れてみました。9月のパッパーノ指揮・ロンドン交響楽団を入れようか迷いましたが、費用対効果ではこちらの方が良いと思います。
10月: ブロムシュテット指揮 NHK交響楽団(Aプロ)
ブロムシュテット指揮のN響定期でのブルックナーは久しぶりで、ブルックナー5番は来シーズンのN響定期で最も必見と言えるでしょう。あとはN響の金管が巧いかどうかにかかっています。
11月: ティーレマン指揮 シュターツカペレ・ベルリン
このオーケストラが前回来日したのは2022年で4年ぶりの来日公演になりますが、あまり頻繁に来日できないのは、シーズン中はオペラ・バレエ・コンサート公演で忙しいので、あまりツアーをできないらしいのです。ティーレマン指揮のブルックナー7番は最も行くべき海外オケの公演と言えるでしょう。ブルックナーの4番から7番までの名演が聴ける年になりそうです。
11月: ソヒエフ指揮 NHK交響楽団(Bプロ)
絶好調のピアニスト・カントロフによるラフマニノフの2番は名演になるでしょうし、ソヒエフ指揮の「くるみ割り人形」も絶品です。来シーズンのN響定期のBプロは3公演だけでいずれも期待できる内容なので、定期会員の枠で売り切れてしまう可能性があります(Cプロ会員からBプロへの流入が多いと予想します)。
11月: クルレンツィス指揮 ユートピア管
「音楽の魂と生命を蘇らせること」を使命とするクルレンツィスは役者のような雰囲気で、演劇的な独特の指揮をしますが、毎回のように斬新な解釈に納得させられてしまいます。ウクライナ戦争になってクルレンツィスは西側での活動が制限されており、来日ツアーは難しいと見ていましたが、2019年以来の待望の公演です。同じ月にドイツでクルレンツィス指揮・ユートピア管は「春の祭典」を演奏予定ですので、この曲だと即完売になるでしょう。
11月: ラトル指揮 バイエルン放送響
ラトルとバイエルン放送響は現段階で世界最強のコンビと言えるでしょう。ラトル、ティーレマン、クルレンツィスが同じ月に来日してしまうと、やはりムーティは選外になってしまいます。
11月: デュトワ指揮 NHK交響楽団 w アルゲリッチ(Aプロ)
アルゲリッチとデュトワの超ベテラン・コンビも必聴となるでしょう。デュトワの十八番の「幻想」も久しぶりに聴けます。11月の3週間で「おすすめ12選」のうち5つが入っており、忙しい月になりそうです。なるべく年間を通じて分散化させたいと考えてはいるのですが、これでもかなり厳選しているので、やむを得ないです。


