2026年中に岐阜市福光にカフェを開業予定です。(努力目標)よろしくお願いします。


岐阜市でのカフェの開業に向けて、シドニーのカフェで働きはじめた。カフェで働くのは11年ぶりだ。

早朝、まだ暗い中、奥の厨房の柔らかな電気が灯っているのを頼りに店のドアを開ける。

すでに来ている店の女の子が淹れる珈琲の香りがカウンターから厨房まで漏れてきて、辺りが珈琲の香ばしい香りに包まれる。

私は厨房に入ると真っ先に、鍋にたっぷりの水を沸かす。店の女の子が大きいサイズのラテのカップを笑顔で厨房に持って来てくれるのもいつものルーティンだ。それにしても、一口目の珈琲はどうしてこんなにも美味しいんだろうか。忙しくてカップを手にする暇もなくて冷めてしまった珈琲も熱い時とは違う苦味が感じられて好きだけど、やっぱり一口目の熱い珈琲には敵わない。

そして、静寂を破るいつものガハガハという笑い声が聞こえる。

毎朝、必ず3人で連れ立ってカフェに来るおじいちゃんたちだ。毎朝毎朝、必ず1番のりでカフェに来て、毎朝毎朝ぶどうパン(レーズンブレッドではなくて、敢えてぶどうパンと言いたい気分だ)とポーチドエッグを注文する。鍋いっぱいに沸かした熱いお湯にお酢を入れてオタマで拡散させてから低い位置から卵を割り入れると綺麗な丸いポーチドエッグが完成する。

3人はいつも、ぶどうパンにさらにシナモンを振りかけてほしいという注文だ。

お店に入ったばかりの頃、ポーチドエッグの注文が入っているのにお湯が準備出来ていなくて待たせたり、ポーチドエッグを黄身が固くなるまで茹でてしまったり、テンパってしまってぶどうパンにシナモンを振るのを忘れたりしたことがあった,,,でも一度も何も言われなかった。

私たちは知らない間に、知らない人から優しさを受けているのかもしれない。

私はシドニーからいなくなって岐阜に帰っても、名前も知らない、だけど甘党で半熟のポーチドエッグが好きということは知っている3人のおじいちゃんのことをきっと思い出す。そんなことを考えていたらとてもせつなくなった,,,