主力3人が皆30代のレイカーズに対し、ニックスの主力はエースセンターのウィリス-リードが27歳、ポイントガードのウォルト-フレイジャーが24歳とレイカーズに比べればずっと若い、言わば新世代のチームであり、ボストン王朝時代に何度も優勝を逃してきた古参レイカーズがセルティックス以外の新参者に敗れるわけにはいかなかった。しかしチェンバレンはニュータイプのセンター、リードに苦戦を強いられる。リードはミドルレンジからのシュートを多用するため、故障明けで俊敏さを欠き、ディフェンスの範囲を狭めていたチェンバレンにとっては非常に守りづらいセンターだった。
第1戦ではリードがチェンバレンの上から37得点を叩き出し、124-112でニックスが勝利。しかし第2戦では意地を見せたチェンバレンが19得点24リバウンドをあげ、試合終了直前にはリードのシュートを見事にブロックしてレイカーズを105-103の勝利に導いた。第3戦ではジェリー-ウェストのベストショットの一つにも挙げられる60フィートからのブザービーターが決まるが、108-111でレイカーズが敗戦。第4戦は再びチェンバレンが18得点25リバウンドの活躍でレイカーズが勝利し、シリーズを2勝2敗のタイに戻す。ここまで実力伯仲の両者だったが、第5戦でレイカーズは失態を演じる。この試合でニックスは大黒柱のリードが足を負傷し、戦列を離れるというアクシデントに見舞われた。これでインサイドにチェンバレンを有するレイカーズが圧倒的優位に立ったかに思われたが、レイカーズはニックスのアグレッシブなディフェンスの前に後半だけで19のターンオーバーを喫し、さらに後半のウェストのシュートは僅かに3本、チェンバレンにいたっては2本と、レイカーズは2人の得点源を完璧に封じられ、100-107で敗北した。レイカーズにとっては屈辱の敗戦だったが、リードの負傷は右太ももの筋肉を断裂するという深刻なもので、とても試合に出場できる状態ではなく、第6戦はリードの居ないニックスのゴール下でチェンバレンが暴れ回り、45得点27リバウンドをあげてレイカーズを135-113の圧勝に導いた。そして迎えた第7戦。悲願の優勝に向けて敵地マディソン-スクエア-ガーデンに乗り込んだレイカーズの選手の目に、信じられない光景が飛び込んだ。試合に出場できるはずのないリードがガーデンに現れ、試合前のシュート練習に参加しているのである。この瞬間、リードはガーデンの英雄となり、そして試合開始後リードがニックスの最初の4点を決めたことで、レイカーズ3年連続8回目のファイナル敗退が決まった。リードの勇姿にニックスは鼓舞され、一方のレイカーズは動揺し、前半だけで27点のリードを奪われたレイカーズはその後も追いつくことなく99-113で完敗。13年に及ぶセルティックス支配からようやく解放されたレイカーズの前に待っていたのは、世代交代という抗いがたい時代の流れだった。なお、1960年代のレイカーズの宿敵がセルティックスならば、70年代前半の宿敵はこのニックスであった。