お客様のニーズに応えることは、企業がお客様から選ばれる企業になるためには不可欠です。例えば深夜まで営業している店舗は、「遅くまでお店が開いていて欲しい」というニーズに対応したものです。
そのニーズに応えるためには、社員が深夜まで働くことが必要です。深夜労働は、ワーク/ライフ・バランスの観点からだけでなく、社員の健康を考えても、決して望ましいことではありません。
お客様のニーズに応えつつ、社員がワーク/ライフ・バランスを実現し、安心して働ける職場にするためには、どうすればよいでしょうか。
内閣府は2009年5月27日に、「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)と顧客ニーズに関する意識調査」について、調査結果を公表しました。そこに、ワーク/ライフ・バランスを実現するためのヒントを探ってみます。
■深夜営業の小売店がなくなったら困る
調査では22時以降の小売店の利用状況を尋ねています。
これによると22時以降に小売店を週1回以上利用する人は全体の26.7%でした。属性別では、男性20代が47.2%、単身世帯が45.1%、週労働時間が長い人(週労働時間49~59時間で37.7%、60時間以上で43.3%)で、利用する割合が高くなっています。
22時以降に営業している小売店がなくなったら「困る」と感じる人は、全体の39.6%にのぼります。利用頻度が多い人ほど、「困る」と感じる人の割合が高くなっています。
■でも、顧客ニーズに対応するために働き方に悪影響が出るのは問題
「深夜営業がなくなったら困る」と思いつつも、「それが働く環境を悪化させるのはよくない」というのが国民の考えです。
「顧客ニーズに対応するために長時間労働など、働き方に悪影響が出ている」という指摘について「そう感じる」と回答した人の割合は、約6割を占めます。特に回答者自身の週労働時間が長いほど、「感じる」と回答する割合が高くなっています。
一方で「残業は仕方がない」と考える人もいます。ここでも、週労働時間が長い人で、「仕方がない」と考える比率が約2割と、高くなっています。その他20代・30代男性や、22時以降に小売店を利用する頻度が高い人ほど、高い割合を示しています。
■残業がなくなれば、深夜営業のニーズはなくなる
でばなぜ、小売店に対する深夜営業へのニーズがあるのでしょうか。それは深夜しか小売店に行かれない、職場環境があるためです。
単身世帯の場合、自分以外に買い物に行く人はいません。毎日早く帰れないのであれば、仕事が終わった深夜に買い物をするしかありません。ここに、深夜営業へのニーズが発生します。つまり企業の残業がなくなれば、深夜営業へのニーズは発生しなくなるのです。
深夜営業をゼロにするためには、できる限り多くの企業が、残業をなくすことが必要です。残業をなくすためには、仕事を効率化し、生産性を高めることによって早く帰る、「ワーク/ライフ・バランス」の導入が有効です。自社でのワーク/ライフ・バランスの実現は、他社のワーク/ライフ・バランスの実現にもつながるのです。
目先の利益ではなく、長期的な利益、社会全体の利益を考えた時、「ワーク/ライフ・バランス」の重要性を、より一層認識することができますね。
「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)と顧客ニーズに関する意識調査」が掲載されている、内閣府「仕事と生活の調和推進」ウェブサイトはこちらをクリック
http://www8.cao.go.jp/wlb/index.html
※トピックスの「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)と顧客ニーズに関する意識調査」をクリックすると、PDFファイルが開きます
クラーク・フューチャー・コンサルタンツが考える「ワーク/ライフ・バランス」はこちらをクリック
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