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一昨日は父の日でした。

給料をもらえる身になった事もあり、珍しく父親にプレゼントをする事にしました。


ラコステのエメラルドグリーンのポロシャツ、そしてクラシックのCD。

CDは、カルロス・クライバー生誕80周年を記念してグラモフォン社から出た新しい全集です。


父は幼少期よりかなりのクラシック愛好家で、高校生の頃にはクラシックの雑誌に投稿した記事が掲載されたほどでした。祖母が密かに保存しているその記事を見せてもらった事がありますが、見開き2ページにも及ぶ記事は高校生が書いたとするにはあまりに「マセた」内容で、その記事の冒頭部分が、「小生はホロヴィッツとカルロス・クライバーを敬愛する一学生・・・」という始まりでした。


父はその時カルロス・クライバーのファンであった当時の事をあまり話してくれないのですが、僕はそこには特別な思いがあったのではないかと睨んでいます。




カルロス・クライバーは名指揮者エーリヒ・クライバーの息子である、数少ない2世指揮者です。今でこそカルロス・クライバーの方が有名ですが、当時はエーリヒの親の七光りとされる事がカルロスにとって一番のコンプレックスであり、嫌悪する所だったそうです。晩年までエーリヒと比較されたくない一心で公演回数を減らしていたという話もあるほどです。


一方、祖父は田舎から一人出てきて独力で今の仕事に就き、同時に親と5人の兄弟を全て養っていたという苦労人。父はそんな中一切の苦労なしに育てられましたが、同時に祖父と同業になるべきだとの周りの無言のプレッシャーに晒されていたのは疑いなく、特に学業で伸び悩んでいた高校時代にはそれが重荷となっていただろう事は容易に想像がつきます。


父はカルロスと自分を重ね合わせていたんじゃないか?様々な意味で父親に反抗していたカルロス・クライバーの音楽に触れる事で、辛いプレッシャーを耐えていたんじゃないのか?と思うのです。





それから40年あまり経ちました。父も祖父と同業になり、今では祖父と比較されるのが苦にならないどころか、寧ろダメ出しする側に回っています。自らの手がける仕事に大きな誇りを持っていますし、遂に3世となってしまった僕にもしばしば厳しい指導が入ります。真逆の立場になってしまったとはいえ、結果的には良かったですよね、カルロスのように晩年までコンプレックスを引きずるようにならずに済んだという事は間違いないのですから。


「カルロスクライバーからの脱却」を図る事の出来た父、父の日おめでとう。