秋の土日祝日は、明らかにお茶会の帰りだなと分かる、落ち着いた着物姿のご婦人を電車で見掛けたり擦れ違うことがあります。

ある程度の年齢以上だと、色無地だったり江戸小紋だったり。若い方だと、母上のかな?と思われる小紋のことも。

お茶をしているから着物を着るという人、多いですよね。ご他聞に漏れず私もその一人。まあ、お茶以外でも着ていますが。

先日、うちの社中も毎年恒例、秋のお茶会でした。おかげさまで天気にも恵まれ、沢山のお客様においで頂きました。

遅刻はしなかったのですけれど、着いた途端「待ってた待ってた」と姉弟子さんが。何事かと思いきや、若い方々の着付けでした。

急遽、若いお嬢さん達が着物を着たいと言い出したらしく。先生しか着せられる人がいなくて、慌ててお手伝い。姉弟子さん方はご自分ではお召しになられても、ひとには着せられないとのことで。

いやあ~大変でした。振袖って重いですねえ。それに私、振袖用の帯結びは帯を通す器具を使ってしか結んだことがなくて。なんと先生も同じ。苦笑いしながら、何とかふくらすずめに仕上げました。

訪問着の帯も、結ぶと短かったので捻っただけにしたら弛んできてしまって、やり直し。余分な紐も何もなく、手で押さえるしかなかったため四苦八苦。捻っただけで帯挟み(帯枕のせ)も無いと、難しいですね。ガーゼハンカチを丸めて背中に入れて台にして、何とか保ちました。

自分で着ないということは何を準備するかも判らないんですよね。ご想像通り補正も足りなかったのですが、やせぎすではなく健康体重のお嬢さん方なので、これまた何とかなりました。ほっ。

10/25マチちゃんと 

皆の写真はちょっと憚られるので、一番仲の良い子と二人のものを。

「祖母が母のお嫁入りのために作ったものなんですけど、一度も着ていないそうなんですよ。ようやく日の目が見られるって、母が喜んでいました」。さすが愛知出身、「名鉄百貨店」の畳紙でした。

この子のお母上は、私より少し上で50代半ば過ぎ。まだ着物がお嫁入り道具の一つだった時代です。30年くらい前、こういう和風パステルとも言える色合いの着物、よく見ましたし私も持っています。

皆口々に「あら、お母様の着物?良いわねえ」「着物は本人以外も着られるからねえ。お母様、喜んだでしょう」等々。ホントその通り。

実際、70代半ばの方も「今日のこれ、母のお下がり」…凄いです。

こうして着ているのを見ると、娘に似合わない色のものは私で着倒し・着尽くしてみようと思っていますが、似合うものは大事に着て譲りたいと改めて思いますねえ。本人より傍の者が良い気分になります。

今秋のお茶会はこの日だけで、次は初釜。そのお正月か、それとも来秋かは分かりませんが、また着てくれることでしょう。私達催す側のみならず、お客様も喜んでくださるのでね。着て欲しいです。

それにしても今回、娘や親戚以外で初めて着付けをしたのですが、ひとに着せるのって大変ですね。いつもはただ気楽に眺めて読んでいるブログの着付け師さんの方々、まさしく敬意を表します。

お茶会が終わり着替え終えた着物を畳んであげながら、私も着付け教室に通って、ひとに着付け出来るよう勉強しようかな?との考えが、ちらっと頭をよぎりました。良い経験でした。


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