春のお彼岸は18日が彼岸の入りで、24日が彼岸の明け。
特にここ数年は、春も秋も「暑さ寒さも彼岸まで」を実感します。

『七緒』春号の特集「紬の学校」で、異国の布を使った帯を見て、これから揃えたい帯の筋目が何となく見えてきました。

再度着始めたこの3年は、おとなしめで失敗がないと思われる定番系でした。それはそれで間違いではなく、これからずっと締められるものですから満足しています。落ち着いた方が良い場合も多いので。

定番の良さを確保した上で、他にも色々楽しめるよう、今までとは趣の変わった帯を探して行こうと思います。染め直した派手目の紬を地味に着たかっただけなので、そこを押さえておけば大丈夫でしょう。

帯と同時に着物についても考え始めました。今の私の着物の基本は、お茶の稽古とお茶会用の着物です。つまり、やわらかもの。

紬は、舞台や美術館を観に行ったり、買い物でのお出掛け用。殆どの方がそうでしょうが、まさにお洒落着なんですよね。

よく呉服屋さんで、「本当の着物好きは~」「本当にお洒落な方は~」との枕詞付きで、紬を勧められることがあります。そんなにお洒落じゃないのでと、お断りするのですが、たまに吸い寄せられることもあり。

そんなこんなで、うっかり財布の紐を緩めてしまい、仕立てに出しているものと反物のままのものがあります。お洒落じゃありませんが、呉服屋さんの言う通り、悔しいかな「着物好き」なのは正しくて。

何となく整理したくて、雑誌を眺めてみました。『美しいキモノ』春号の、春らしい綺麗な色に目が行きました。つい先を考えてどれもこれも濃い色にしがちなのですが、地味一辺倒では変化に乏しいのでね。

でも、これからそんなに綺麗な色を買う気には到底なれません。そこで
買ってからこのかた、素敵~と眺めるだけでまともに読んだことはない本を、気持ちを落ち着かせるため、引っ張り出して来ました。
 

本・きもの巡礼
森田空美さんの『きもの美巡礼』小学館('06年11月発行)

日本各地の、素晴らしい織りと染めの着物が紹介されています。当然ながら、その殆どが森田先生好みの無地感覚のもの。

大島好きの方、結城好きの方、様々おいでですけれど、私の場合は特に「これが好き」という紬はありません。持っているものは、特にどこの紬か気にしたこともなかったので、よく分かっていません。

大島もそれ以外も、証紙が大事だなんて知りませんでした。買って着ていれば満足で。今振り返っても、ものを知らなすぎでした。まあ、そんなにたいしたものは持っていない、ということなんですけどね。

先日お茶会に、無地感覚の綺麗な色の見るからに上質の紬の方がいらっしゃいました。身ごなしも着こなしも違うと拝見していたら、やはり茶道の先生でした。わざと外して紬でいらしたのが分かりました。

「お茶会へは紬でも大丈夫」と、本や雑誌に載っています。時季的に他に合うものがなければ、紬でも構わないでしょうが、そうでなければ相当のものでなければ難しいと、お手本を見せられたようでした。

無地感覚の紬って、やわらかもの以上に値段がはっきり出るんですよね。贅沢するつもりはありませんが、そもそも無い袖は振れないので贅沢したくても出来ません。質の良い無地紬、手が届きません。

若い頃のものも母のものも持っていた紬は全て、染め直しか仕立て直しをしました。それに新しく、縞大島と黒地の結城を買いました。意識していたわけではありませんが、無地ではなく柄があるものです。

無地のもの、着始めた頃に買ってしまえば全然平気だったのでしょうね。中途半端な今が、一番買いづらいのかも知れません。もう少し年が行って気が向けば、選びやすくなっているように思います。

本を眺めていたら、昔は避けていた「絣」に目が行くようになりました。無地感覚から一気に飛んで、次は絣系が欲しくなるのかな?

と、と、と。しばらくは、お茶会で着る着物を調えることが優先です。紬は当分、先のことになります。と言うか、なるはずです。

「赤で派手だったから仕方ないんだけど、昔の紬には色を掛けちゃったから、やっぱり好きな薄い色目の紬が欲しいのよね~」と、ふらふらと本音が出てしまいそうな、全く信用出来ない私がいます…。


お読みいただき、ありがとうございます。

 

森田空美のきもの美巡礼 染めと織りの手わざを訪ねて (和楽の本)/森田 空美
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