暑さに降参して休んでいる間に、8月も晦日になりました。
都会は都会なりに、秋が近付いたことを教えてくれるものが、幾つかありまして。水道の水が、その一つ。マンション住まいなもので、盛夏は「あれ?お湯を出した?」と思うほどぬるく、なかなか冷たくならなかったのが、すんなり水に変わります。
ふと気付いたら、日が暮れるのも随分早くなっていて。秋分の日まで、ひと月無いのですから、当然ですね。さて、そろそろ秋の準備を始めないと・・・。

いきなり地味で、おまけにぼやけた画像ですみません。新聞の夕刊記事です。日経新聞夕刊 『こころの玉手箱』 今週は、写真家の石内都さんでした。
石内都さんと言えば、07年に広島を訪れて以来、原爆犠牲者の遺品を撮り続けてらっしゃる写真家で、「ひろしま」や「絹の夢」等の写真集が有名。
今夏、ドキュメンタリー映画「ひろしま 石内都・遺されたものたち」が、日本各地で上映されています。(こちら)

『日本映画の字幕翻訳者としても活動するアメリカ人監督、リンダ・ホーグランドが女性写真家、石内都に1年間密着したドキュメンタリー。広島の被爆をテーマに作品を発表した石内の想いと、彼女の写真展に触発された人々の声や歴史を積み重ねながら、“広島・長崎の被爆を国境を越えて語り継ぐために何ができるのか?“を問いかける真摯な作品だ。』 (Googleの上映情報より拝借)
あいにく私は観ていませんが、相当重みのある映画には違いありません。NHKが製作に携わっていますから、テレビ放映を望みたいと思います。その前に、市民団体系の主催で市民ホール等での再上映も、期待します。
実は私、恥ずかしながら、この方を知ったのが、昨秋発行された「クロワッサン」別冊の「着物の時間」でして。その中にある紹介欄で、「ひろしま」を撮った写真家だと、繋がりました。ああ、そう言えば、って感じで。いや、情けない。

お持ちの方も多いと思います。48・49頁。
お祖母さまとお祖父さまの、お二方の着物を接いで作った着物をお召しです。もう、なかなか真似出来ない存在感で。最初、パラパラと写真だけ見てめくっていたのですが、この石内都さんの頁は、思わず止まって文章を読みましたよ。
余談ですが、石内さんの前に文まで読んだのは、太田垣晴子さんの頁。女優さんは面白みが無いので、2度目3度目じゃないと読む気になれなくて。
接いである着物なのですが、この片方ずつなら、どちらも着たいなあ~と思いました。私には強すぎて、この着物は無理なのでね。帯も良いなあ~でしたし。
それに、この雑誌には珍しく色半襟で。しかも、とってもしっくり馴染んでいて。色半襟を使う人にありがちな、着物上級者感も出ておらず。決して美人ではないのですが、物事を深く考えてきた人の表情で、強く印象に残りました。
で、その方の連載だったのです。物凄く乱暴に纏めますと、
○月曜日 行儀の良いビートルズより、不良のストーンズが好きだった
○火曜日 横須賀で運転を生業とした、母の結婚前の名前が、“石内都”
○木曜日 昨年仕事で初めて訪れたメキシコに感化され、魅力の虜になった
○金曜日 写真家ロバート・フランクと米国への視点が重なり合い、通じ合った
○水曜日 「魂を継ぎ 個展で着用」との小題が掲げられ、写真家の桑原甲子雄夫人・桑原美恵さんに頂いた、黒地に白の絣文様をあしらった紬縞の着物の写真が左上に。「着物の時間」と同じく、着物の話をされています。
石内さんは、フォーマルドレスはお持ちではなく、個展のオープニングには、必ず着物を着ることにしているとのことで、多くは譲られたものとか。
着姿もあり、文章の量も「着物の時間」の方が多いのですが、新聞記事での着物に関する話は、まとまっていて堅い分、こちらに届くものがありますねえ。日経ですから、どちらかと言えば読者は男性の方が多めなのでね。尚更。
石内さんの写真、色々な方の感想と、どうしても被ってしまうのですが、被爆の悲惨さのみで原爆の遺品を撮っているのではなく、美しいものと感じ取っているので、綺麗なんですよね。それ故に、断ち切られた時間のむごさ、悲しさ、悔しさ、その他諸々の重さが、静かに閑かに伝わってきます。
遺品を美しいものとして捉える力は、なかなか他の写真家には、無いものでしょう。写真が決定的に違うところは、そこですよね。私には、残念ながらたいして見る目はありませんが、それでもこの写真家の、奥の深さを感じます。
日経の記事を読んでから、「着物の時間」を見直すと、最初にめくった時に感じたものは、確かに正しかったのだと分かります。
間違いなく着物は、内面を表に出してしまう衣服なんですね。大好きですが・・・怖いです。
お読みいただき、ありがとうございます。
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