11月15日(火)...
ママの外来の日です。
阿蘇の国
「パパ、ママをよろしクー」
「お昼は、大文字がいいね」
パパとママは、
そんなことを言いながら
車に向かいました。
「はい、乗って」
パパは努めて明るい声をかけました。
午前10時出発
ママ
「今日はCTがあります...、ちょっと心配」
午前11時10分到着
ママの検査も終わり、
ふたり待合室で
呼び出しを待っているときのことでした。
突然、女の人の泣き声が聞こえてきました。
見ると、取り乱し泣き崩れています。
隣には年老いた父親と母親らしき人がいて、
父親は入院の手続きを書いていました。
「重い病気かな?
きっと、会えなくなるんだ...」
パパは悲しそうにつぶやきました。
女の人は、
泣き止むことなく、
ひとり外に出ていきました。
ママの診察が終わりました。
...特に問題はないそうです。
後は、12月のMRI検査です。
午後12時半
「晴れたね?」「うん、晴れたね♪」
病院を出ると、
駐車場の車の影で
先程の女の人が泣いていました。
「頑張って」
パパは女の人に聞こえるようにささやきました。
パパ
「さぁ、大文字に行こうね」
熊本城
いのちをみつめるとき、
本当に大切なことに気づくことができます。
いのちは愛おしい。
生きることも愛おしい。
死ぬことも愛おしい。
「美味しいね」
「遅いですよ」