涙よりも | 阿蘇の国のクララ

 

「アリスおねえさん、私、6歳になったよ!」

 

「クララはたくさんのことを

パパとママと乗り越えてきた。

信じられないくらいたくさんのことを。

信じられないくらい仲良しに。

立派だよ♪」

 

9月19日(月)...

 

「...夢?」

 

風速(最大瞬間)

38.1m熊本空港

 

「台風の吹き返し...」

 

パパ

「予約しておいたボンジュールが、

停電してるんだって...。

それでもかまわないのなら、

お待ちしてますって。

バレリーナさんも向かってることだし、

予定通りクララの誕生日会やろうよ」

 

ママ

「うん♪」

 

南郷谷

 

ママ

「見て、信号機が点いてない!」

 

「...側溝から水が溢れてる!」

 

午後1時過ぎ...

 

ボンジュール・プロヴァンス

 

「ようやく、着いたね。

バレリーナさんも無事に着いたみたい」

 

「こんにちは、お世話になります♪」

 

「クー!」

 

バレリーナさん

「可愛い~!クーちゃん、こんにちは♪」

 

バレリーナさん

「キャンドルがロマンチックね、

誰もいないし♪」

 

※満員の予約はキャンセルになりました...

 

 

 

 

 

気づいてみたら、

ついこのあいだと思っていたことって、

ずいぶん昔のことなんだな。

 

毎日のように山や川に行って、

疲れ果てて帰ってきて。

 

うっかりご飯も忘れそうになるくらい眠くて。

 

遊んでおいてよかった。

 

だって、私は6歳。

 

もう6歳なんだよ。

 

信じられないけど、

アリスおねえさんは、

7歳で死んじゃったんだよ。

 

来年はもう、私、7歳になるんだよ。

 

ミナコおねえさん

「クーちゃん、お待ちどうさま♪」

 

「ク~♪」

 

厨房の熱気、

ママたちの笑い声、おしゃべり。

 

優しいボンジュールママ、

寡黙なボンジュールパパ。

 

ミナコおねえさんと

バレリーナさんも居る。

 

パパとママ、皆が、

私の誕生日を祝ってくれている。

 

みんな、みんな、私を離さないで。

 

でも、涙よりも、

今を楽しむ力をもらったように思う。

 

クララ

「電気、点いた~♪」