子のない親は、夕日を拝む | 阿蘇の国のクララ

 

阿蘇の国にいると

毎日のように森を散歩します。

 

そこで時々見かけるのは...

 

哀しいけれど、

モグラの死骸だったり...

 

ヘビの死骸だったり。

 

「クッ...」

 

一昔前までは人生50年というのが、

日本人の人生モデルとして長年定着していました。

 

50年も生きれば御の字...。

 

しかし、

生活の向上や医学の進歩で

急速に寿命が延びて、

今や日本は女性に限っていえば

平均寿命世界一の長寿国になりました。

 

それ自体はおめでたいことですが、

「生」と「死」の間に割り込んだ

「病」や「老」がどんどん拡張して、

死は隅っこに押しやられたばかりか、

まるで存在しないものかのように

無視されるようになりました。

 

医師や病人からは、

死は忌(い)むべき敗北として敵視され、

激しく執拗な闘いを挑まれるので、

自然で安らかな死を迎えるのは

難しくなってきました。

 

「クー...、モグラさんとヘビさんは?」

 

「パパが大きな木の下に

一緒に埋めてあげたよ。

これから仲良しになるわよ」

 

かつて死はもっと身近な存在でした。

 

生と死は一対で、

日の出と日没のように

自然なこととして、

日頃から敬意や親愛の情をもって

意識されていました。

 

親のない子は、夕日を拝む

親は夕日の真ん中に

 

子のない親は、夕日を拝む

子は夕日の真ん中に

 

「夕日に拝みましょう」「クー」