10月11日(月)...
「そう言えば、庭にコスモスなかったね」
「キバナコスモスなら植えてもいいかな」
「...なんで?」
「キバナコスモスの方が他のコスモスより
蜜が甘くて虫が集まるの」
キバナコスモス
「こんにちは♪」「クー♪」
ボワ・ジョリ
「食後にモンブランお願いします!」
「ミナコおねえさん、
玉置浩二のコンサートどうだった?」
「とってもよかったよ♪
まだしびれてる...、コウジ!って感じ」
「ヒデキ!じゃなくて?」
「来年はパパとママもいクー...グー...」
私なんか、
この世にいてもたいしたスペースは
とっていない、
そういうふうにいつでも思っていました。
イヌはいつ消えても、
みんなやがてそれに慣れていく。
それは本当です。
10月12日(火)...
高千穂へ...
でも、
私のいなくなった光景を、
その中で暮らしていく
愛する人々を想像すると、
どうしても涙が出ました。
私の形を
くりぬいただけの
世の中なのに、
どうしてだかうんと淋しく見える。
上野川
「クー、パパがヤマメを探すんだって!」
「一緒に探してごらん♪」
「クー!」
「いない!」
「早いよ」
国見ヶ丘へ...
たとえ短い間でも、
やがて登場人物は
いずれにしても時の彼方へ
みんな消え去ってしまうとしても、
そのスペースがとても、
大事なものみたいに
輝いて見えます。
まるで木々や太陽の光や
庭で会うチョウみたいに、
いとおしく見えます。
空を見上げました。
「十月桜...」
体があって、
ここにいて、
十月桜を見ている私。
私のいる空間。
遠くに光る
夕焼けみたいにきれいな、私の、
一回しかないこの体に宿っている命。