家族のこと、愛してる? | 阿蘇の国のクララ

 

10月8日(金)...

 

後藤万十店

 

「万十食べながら行こう!」

 

「ひとつ私にクーださい♪」

 

「あんでいい?」

 

「クー♪」

 

牧ノ戸峠へ...

 

「...展望台まででしょう?」

 

「ううん、沓掛山(くつかけさん)まで♪」

 

心臓がトクンと軽く弾みました。

 

牧の戸登山口

 

「え?」

とママは思わず声を出しました。

 

「ママ、賢者は海を愛す。

聖者は山を愛す」

パパは偉そうに言いました。

 

「誰か来る...」

 

「クララちゃん、また会ったね♪」

 

「おととい、杵島岳で会った人だ!」

 

「また、会えるといいね♪」

 

「クー♪」

 

太陽は沈み始めて、

くじゅう連山の影が

黒々と伸びていました。

 

黒とオレンジだけで、

世界ができていました。

 

由布岳

 

阿蘇山

 

「登ってよかったね」

 

「クー」

 

沓掛山山頂

 

峨々(がが)たる山々は、

夢の色をしています。

 

山上の空には、

雲の子どもたちが

茜色、黄色、桃色をしています。

 

いつしか雲の子どもと遊んでいました。

 

もろもろのことを、

雲の子はおしゃべりしてきて、

私の心を騒がせました。

 

(家族のこと、愛してる?)

 

私は真面目な顔で、

一つうなずいてみせました。

 

やがて雲の子は、

足音も、声も無いまま、

私の上にかがみこんでキスをしました。

 

(また来てね、家族で)