大木のようにゆるぎなく | 阿蘇の国のクララ

 

10月5日(火)は、

ママの病院でした。

 

「クーちゃん、ママ行ってくるね」

 

「クー...」

 

ママは、

2015年2月に

ステージ4の肺がんと診断されました。

 

「遺伝子変異」があったため、

分子標的治療薬の適応となり、

その年の4月から

1日2度のアレセンサを

定期内服することになりました。

 

熊本市内へ...

 

約3年後の

2018年5月、

肺炎を発症してしまいました。

(原因は、薬の副作用?

細菌やウイルス?)

 

そのため、

アレセンサを休薬して、

ステロイド治療になりました。

(5ヵ月間)

 

肺炎は治りましたが、

その間に、

脳に再発してしまいました。

 

2018年10月、

全脳照射が終了しました。

 

幸い、

その後がんは大きくならず、

診断から6年半が経過しました。

 

午前11時15分

 

採血

 

レントゲン検査

 

「薬は続けるけど、

肝臓と腎臓の数値が高いんだって...チッ」

 

午前12時45分

 

「深く考えない方がいいよ。

先生も言ってるし」

とパパは言いました。

 

「でも、つい考えてしまうの...」

 

病院の帰り道、

二人はたがいの感想を語り合いました。

 

意見をぶつけ合い、

そこからたがいの価値観や人生観を

分かち合うこの距離が、

二人にとって何よりも

かけがえのないもので、

たまらなく愛おしい時間でした。

 

その日ママと私は、

廃校になった小学校の校庭に行きました。

 

校庭には一本のイチョウの木があり、

里を見守るように悠々と枝を広げていました。

 

「クー、何か落ちてる」

 

「銀杏よ、触ると臭くなるよ~」

 

娘が頼るのは、

たった一人のママであるあなたの存在です。

 

だからどうか、生きてください。

 

大木のようにゆるぎなく、

いつでも娘を受け止められて、

優しい木陰を提供できるような

ママでいてください。

 

それが私の、永遠の願いです。