7月26日(月)...
「メリーちゃん、行ってきます♪」
「クーちゃん、行ってらっしゃい♪
今日はどこまで?」
「わからない。
いつもパパが空を見て決めるから」
「傾山が雲で見えないから、
日之影川は雨だね...」
青雲橋
「お倉ヶ浜まで行けば晴れてる...」
「虹が出てる...、消えた」
お倉ヶ浜(宮崎日向市)...
「日本の渚・百選」に選定された
延長4kmに及ぶ白砂青松の砂浜は、
サーフスポットとしても名高い海水浴場です。
「あなた可愛いわね♪」
「みんなそう言う♪」
「足短いね?」
「みんなそう言う...」
「クーちゃん、行くよ!」
「クー!」
ママは眼を大きくして、
私に近づいてきました。
膝を折り、
まるで匂いを嗅ぐみたいに
スマホに顔をよせて、
しげしげと観察を始めました。
「どの角度から撮るのが、
いちばん可愛いかな」
そんなに楽しそうな顔をして、
いっぱいの光りを浴びて...。
「戸惑ったような表情も、可愛い」
ママはそう言って、笑いました。
ゆるく吹いた風に、
ママの弱々しい髪が
さらさらとなびいていました。
私は息をのんで、
それから呼吸を止めました。
呼吸を止めれば、
時間も止まるような錯覚がしたから。
ママがシャッターを切りました。
そう。
膝を折って。
儚(はかな)げに。
くちびるを、すこしだけ開いて。
「ママ、可愛く撮ってね」
永遠の1枚を。