私も一緒に行くから | 阿蘇の国のクララ

 

5月5日(水)こどもの日...

 

クララの丘(裏山)へ...

 

「ふるさとー♪」

 

阿蘇一帯は

多様な植物が生育することでも

知られていますが、

開発などとともに減少の一途を

辿っています。

 

特に、オキナグサは、

山野草として非常に人気が高く

採取や開発によって

急激に減少してしまいました。

 

「クララがたくさんある♪」

 

クララ

 

一方クララも、

草原環境が崩れ、数を減らし、

それを食べるオオルリシジミの

個体数も減っています。

 

「オオルリシジミちゃん♪出ておいで」

 

鼻をくんくんさせながら歩き回りました。

 

「...いた♪すごく奇麗...」

 

ほっと安堵しつつ、思わず呟くと、

ママが笑い声を漏らしました。

 

「クララの瞳が綺麗だから、

それに映る世界は綺麗なんだよ」

 

オオルリシジミ

 

「いつかこの場所で、

クララにオオルリシジミを

見せたいって思ってたんだ」

 

「え...」

 

「やっと、見てもらえた...」

 

ママの声はなぜか、

少し震えているように聞こえました。

 

でも、たぶん私の聞き間違い...。

 

「もう11年も前かな。

ペットショップから

アリスを連れ帰って、

初めて来た場所がここだったの。

あの日(2010年5月26日)のこと、

今でも鮮明に覚えている」

 

「あの日も同じように

オオルリシジミが飛んでいたの」

 

私はこくりとうなずきました。

 

「クララが夢の国に行くときは、

私も一緒に行くから」

 

ママは心底うれしそうに笑いました。

 

「勝手に先に行ったら、絶交だからね」

 

「私もだよ」

 

私も静かに口を開きました。

 

「約束だよ...」

 

「アリスが行くときは、

ぼくも一緒に行くから」