EXPO / EPOTION | 5000VOLTもの電撃を受けるとシビれます

5000VOLTもの電撃を受けるとシビれます

自分がビリビリと刺激的電撃を受けたCDやレコードなどの音を中心に、レビューっぽい感じで綴っていきます。よろしくです。

約一年振りの更新。
年明けに2Dcolvicsに、2013年の日本語ラップベスト13を掲載していただきました。毎年、アリガトーゴザイマス。

今年は曲単位ではなく、アルバムで選ばせてもらいました。自分の聴き方がアルバムで聴くって方にシフトしてたってのもあったので。

選んだアルバムをいくつかピックアップしてレビューしていきたいと思います。あまりにも久しぶりすぎて、(元々そうなのに拍車をかけて)拙い文章だと思いますがご容赦を。



2013年5月発売のEXPOのアルバム「EPOTION」。
stillichimiyaのオリジナルメンバーである Mr.麿、DATA、TURBOの3人によるユニットで、公式サイトによると「新感覚ポップスユニット」とのコト。何ともつかみ所のないキャッチコピーと異様な雰囲気をかもし出すジャケット、これで食指が動かないワケがない。

1曲目「富士の流れのように」は山梨レペゼンの彼ら(stillichimiya)のアイデンティティとも言える富士をテーマにしたものだが、出だしから何ぞこれ?笑
富士山の壮大さを感じさせるトラックに絡む笛の音、そこに麿の呪いのような何とも言えない歌声が響き、ジャケ負けするコトなく かなり異様な世界観が展開されている。

2曲目「リニアモーターカー」はいきなりダンスチューン。山梨から東京まで15分で移動するコトが可能なリニアモーターカーに対する愛憎入り交じった感情を最新のテクノビートに乗せて立派に歌い上げる。「オマエの街まで15分、カップヌードルならジャスト5個分」のようなラインは日本語ラップが持つ非常に奥ゆかしい言葉遊びであり、韻を踏む為に用意した適当な言葉の羅列とは一線を画すコトは明白だ。フックの「リニアモーターカー、フィフティーミニ~ッツ」もくだらなすぎて良い。

3曲目「巨峰」は山梨の名産である巨峰に切ない想いを寄せる哀愁系バラード。3人体制になった後期たまのような演奏とコーラスでかなりツボ。PVの撮影現場を農家のお婆ちゃんなんかがビニールハウスから出てきた矢先に偶然見てしまったら腰抜かすんじゃなかろうか。

4曲目「テシクとジョンヨン」は6分を超える尺の寸劇でちょっと冗長だが、次曲への導線と考えればまぁ…。続く5曲目「サーキットシティー」はまたもダンスチューンで、高速ダブステップに会わせるようにスピード狂の歌。

6曲目「電影少年 - Video Boy」もPV必見。俺くらいの世代だと小学校高学年~中学2年くらいまではお世話になりっぱなしだった、ジャンプがB地区OKだった時代のラブコメマンガ電影少女 - Video Girlへのオマージュ。EXPOの3人がVHSから再生され、サエない主人公クンと友情を育んでいくサマは刹那の時だというコトも相まって涙モン。

全6曲。
在りし日の坂本龍一のようなメーキャップのMr.麿からもわかるとおり、YMOの世界観をパロディしているのだろうが、90年代中盤のレピッシュのような仕上がりになっているのも好感触。並のHIP HOPアクトだととてもやらないだろうしやれないだろう突き抜けっぷりは異能集団stillichimiyaの層の厚さを強く感じられる。田我流やPONYをきっかけに本隊に興味を持ったヘッズの何人がここまで辿り着けて、更に愛聴できるかは不明だが。

マイク5本、いや、5000VOLT。