G.K.MARYAN / Keep on Movin' Vol.1 | 5000VOLTもの電撃を受けるとシビれます

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自分がビリビリと刺激的電撃を受けたCDやレコードなどの音を中心に、レビューっぽい感じで綴っていきます。よろしくです。



リリースに関してはYOUとTWIGYばっかりだった雷だけど、遂に動き出した第3の刺客、G.K.MARYANが2000年にリリースした1stアルバム「Keep on Movin' Vol.1」。まさかRINOよりマーヤンが先だなんてね…。

2008年現在、シーンから黙殺とまでは言わないけど、もはや いるのかいないのかも解らないマーヤンだが、この頃は「証言3番のあのマーヤンが遂にソロアルバムを!」みたいな空気がシーンにも蔓延していた。若いコからすりゃ信じられないよね。でもそうだったんだよホントに。アルバムリリース前から12インチも活発にリリースしていたし、何と言っても前年にDJ MISSIEとのタッグで出したテープアルバムが余りにも良い内容だったので、俺も大いに期待した覚えがある。マーヤンのアルバムに。

1曲目「intro」は、そのDJ MISSIEの擦りで始まるイントロ。マーヤンの声ネタを次々に超絶スキルでハメ込んで行くミッシー。職人やな~。2曲目「続・大災害」はDJ YASビートで、名刺代わりと言わんばかりにえん突つから出した1stシングル。3曲目「Relax Matha F**ka (23区別注)」は、2000年当時、飛ぶ鳥を落とす勢いだったニトロからMACKA-CHINとGORE-TEX、雷からGAMAを迎えた、マーヤンのラッパー人生の中で一番有名な曲だろう。REALITYからリリースされた12インチも、出た当初は品薄で買えなかったヘッズも多かったと思う。ちなみに本アルバム収録のコレは12インチのB面だったリミックスで、イントロとアウトロでそれぞれSUIKENとDABOも参加。豪華やな~。

4曲目「土地土 FOREVER」はDEV LARGEのプロデュースで、デビュー曲「FREE GREEN」のセルフカバー。オリジナルの煙たさは出せなかったが、悪くはない。これは確か、EL DORADOから12インチが出てた。何故にリリース毎にレーベルを変えるのだろうマーヤンは。6曲目「アーバントラップ」は親友UZIとのタッグで聴かせる、都会の罠アンセム。残念ながら、「俺の言い分」の足下にも及ばず。

7曲目「THIS LIKE THAT ~TOP ISLAND~」は2曲目のB面だった曲で、これもDJ YASが制作。こっちの方がA面よりもYASっぽいビートで、俺は好き。9曲目「アル・パカチーノ」は、DJ PAT→504がプロデュース。これもFUTURE SHOCKから12インチが出てた。マーヤンがアルバムからシングルを4枚も…!日本語RAPバブル時代の象徴ですな。12インチバージョンはシンノスケさんがサイドMICで登場するので、そっちをオススメします。

10曲目「かけめぐる新宿ブルース」は4曲目のB面だった曲で、これもDEV LARGEが制作。D.Lらしいネタ感の強いトラックは、ラウンド具合が良いね。12曲目「TOKYO RELAX (acoustic album version)」は、3曲目「Relax Matha F**ka (23区別注)」のオリジナルバージョンをドラムレスでアレンジしたモノ。こっちの方が沁みるね。

全12曲。
前述の通り、マーヤン初のアルバムに凄く期待をかけたのだが、既発曲の寄せ集めだった。TWIGYの1stもそうだったけど、12インチを出る度に買ってたリスナーにはちょいと物足りないだろう。あと、このアルバムに始まった事ではないが、前からマーヤンはリリックに意味がなさ過ぎる。語彙力もなさ過ぎる。ラッパー稼業を営むにあたって、これは困らないのかな。こっちが心配になるよ。集まったビート群のクオリティの高さを考慮しても、全体を貶めてしまうじゃんか。

まぁ、この後はリリースを重ねる度にヘッズは離れて行き、パイプ椅子事件でネットアイドルになってしまったマーヤンにとっては、ここが一番良かった時期かも知れない。

それでもマイク3本、いや、3000VOLT。