YOU THE ROCK★ / The Professional Entertainer | 5000VOLTもの電撃を受けるとシビれます

5000VOLTもの電撃を受けるとシビれます

自分がビリビリと刺激的電撃を受けたCDやレコードなどの音を中心に、レビューっぽい感じで綴っていきます。よろしくです。



まだまだ止まらない雷の稲光り。YOUちゃんとTWIGY以外のメンバーはまだ音沙汰ないが、前作から間髪入れずに、YOU THE ROCK★の99年発売の5thアルバム「The Professional Entertainer」。どうもリリース当時の本人の弁によると、「サントラ '96」と「グラフィティロック '98」とこれは三部作だったらしい。かなり後付けっぽいと思ったけどね。そんな事言ってなくなかった?みたいな。

このアルバムから名前に★が付き、テレビなどの地上波にも露出し始め、APEに袖を通し始めた。思えば、俺がYOUちゃんの発言に懐疑的になり始めたのはここ辺りだった気がする。「ウータンよりもスピッツの10年間の方がHIP HOP」とか、「ラルクのギターがHIP HOP」とか、そんな類いの発言もし始めたしね。いや、「ウータンがゲットーから伸し上がった経歴よりも、スピッツの10年間での苦労の方が理解しやすいし共感できる」とか、もっと単純に「ウータンよりスピッツの方が好き」とかなら全然解るよ。何故にそこで「HIP HOP」という概念を引き合いに持ち出したがるのかは理解に苦しむし、今までのオマエの提示していたモノは何だったの?と思ったヘッズは5000VOLT少年一人ではなかったハズだろう。

アルバムに話しを戻そう。前作でもそうだったが、常に新しいスタイルを求めていたYOUちゃんDA兄貴。ハーコー、エレクトロ、ときて、三部作の最後に選んだテーマは…

セルアウト。

ってのは冗談だが、エンターテイメントかな。敢えてテーマ付けするなら。今回は前2作と比べると、特に明確なテーマを感じない。三部作の最終章なのに(笑)

2曲目「COME ON EVERYBODY」は、前作に続き再びSHINCOとのコンビネーション。シンコらしい、ネタ感の強いブレイクも挟むハッピーなトラックだが、今一つ突き抜けてない感じ。3曲目「WAKE UP SONG」のプロデュースはツッチー。浮遊感のある、いかにもツッチー印のクリエイトサウンドだが、DJ TONKが好きでない理由と同じで、ツッチーも二番煎じ感が強くて余り好きじゃない。この曲も平均的であって、特に何も来ない。

5曲目「NO JOKE TALKS (GET UP BROTHER 目黒川) 」は、G.K.MARYANとDEV LARGEを迎えたハーコーシット。お、マーヤン元気だったんだなってくらい、まだ露出が少なかったな~。相変わらずビートを踏み外したようなライミングや、字余りなリリックを補えないフロウも、まだ俺は味としてマーヤンを楽しんでいた気がする。フックのみのD.Lは相変わらず硬派な感じだね。6曲目「THE PROFESSIONAL ENTERTAINER (the ruler's back main mix)」はアルバムからの先行シングルで、「俺はKING OF ROCK!」と高らかにYOUが叫ぶ。DEV LARGE制作のトラックは、YOUのエナジーを増幅させるに最適なイケイケビートで、メジャー配給のシングルとしては問題ないだろう。ただ何故か、YOUの叫びにココロが揺らがない自分が居た。

9曲目「RAP MACHINE」はタイトルこそ猛々しいが、YOUのRAPスキルのなさを示しつける罪な曲。ファストラッピンは無理なんだって。10曲目「MANHATTAN DREAM」はDJ HIDEのプロデュース曲で、不思議な鳴りを聴かせる、エレクトリックとアブストラクトの中間的な、それこそ抽象的な表現だが、まぁそんなビート。これは好き。音は。

11曲目「JAPAN IN THE HOUSE」のゲストはBOY-KEN。どうせなら、YOUも昔のラガマフィンスタイルでやれば面白かったのに。12曲目「超楽C-E-Z (Get Busy Y'all) 」は、自身のサイドMC's、L2D(Zen-La-Rock、イーモトロール、Surpass The Mic)を率いた1曲。これはホントに超楽しい感じで、アルバム中でも数少ない、何度も聴ける曲。

13曲目「ROCKY ROAD (友情BBS)」は、前作の「BACK CITY BLUES」路線をモロに踏襲した曲。まぁ、柳の下に2匹目のドジョウはいないって事のいい見本じゃん?自分がソレをやってどうするってトコだけど。14曲目「THE PROFESSIONAL ENTERTAINER (the Living legend) 」は、6曲目のリミックス。トラックに変わりはないが、フックをNIPPSとDEV LARGEの2人が担当する贅沢な仕上がり。オリジナルよりこっちだな。

全14曲。
レビューを書くにあたって久々にこのアルバムを聴き返したが、飛ばさずに聴けたのは、5、12、14の3曲のみ。あ~、やっぱここだったか。俺とYOUちゃんの決別期は。

マイク2本、いや、2000VOLT。