キミドリ / キミドリ | 5000VOLTもの電撃を受けるとシビれます

5000VOLTもの電撃を受けるとシビれます

自分がビリビリと刺激的電撃を受けたCDやレコードなどの音を中心に、レビューっぽい感じで綴っていきます。よろしくです。



キミドリの93年発売の1stアルバム「キミドリ」。前回、かせきさんのレビューを書いた流れで、LB関連が続くかも?とは言え、キミドリをLBと位置づけていいのかどうか疑問が残るトコだが、まぁいいか。

キミドリは、MCのクボタタケシと石黒景太、DJの青木誠の3人組。一般的にはクラブDJとしての名前が有名であろうクボタタケシだが、キャリアのスタートはMCだったのだ。しかも彼のDJプレイと同様、MCスタイルも相当オリジナル。形式に捕われてはいけないのです。

ちょっと話が逸れるが、クボタタケシのDJプレイは本当に凄いので都内のイベントとかで機会がある人はゼヒ行って体感してみてくれ。実はクボタタケシとか呼び捨てにしてっけど、俺は6、7年前に地元でクラブDJをやっていた時、クボタさんを自分らのイベントに何度かお呼びした事があるのだ。H.I.G.Oさん主催のPET SOUNDS@BOP、Kow-chang達とやってたSPRING WHEELとかでね。懐かしいっス。オールジャンルとは名ばかりのクボタフォロワーDJ(俺の事です)にもクボタさんは優しかった。ルービンシュタイナーの12インチとかくれたもんな。本人は覚えてないだろうけど、お世話になりました。

アルバムは、リリックもトラックも全てクボタさんの手によるモノ。トラックはともかく、普通リリックってラッパーは自分で書くよね?サイドMCってワケでもないのに何で石黒氏は書かなかったんだろ。ダディケンに書いてもらってたビズマーキーみたいなもんなのかな。

1曲目「カネデカワレタカゴノトリ」から凄いタイトル。誰か明確な攻撃対象がいるわけではないのだろうけど、この曲は何か(社会?)に怒っているような内容。それは続く2曲目「白いヤミの中」も同様。当時の彼らは主に下北辺りのライブハウスを根城にしていたからか、パンクBANDのようなアティテュードが序盤の2曲から感じ取れる。

スキット的な3曲目「サソリに刺されたキミドリ」を挟んで、4曲目「自己嫌悪」は、人間の内面にエグり込んでくるようなリリックが発売から15年経った今も、その威力を失う事なく突き刺さってくる。

 時々自分が不安になる 時々自分が不安になるのさ
 時々自分が不安になる 意味もなくむしょうに不安になるのさ

これがフックなんだけど、こういうRAPする人って最近いないな~。「主義・主張なんて俺はないけど自己だけは確立したいよ」という石黒氏のラインも好き。この曲はトラックも、リリックの内容を更に引き立たせる秀逸なメロウネスで、展開も完璧。93年でこれかよ…。しかも相当ライブ栄えしそうだし、生で聴いたらハンパないだろう。

5曲目「つるみの塔」はチェックユアマイクのコンピに入ってた曲。つるんでばっかの馴れ合いシーンを皮肉った曲で、1、2曲目と同様にこの曲も、怒りのエネルギーが原動力になっているような気がする。6曲目「無視されてるキミドリ」はスキットで、7曲目はポッセカット「大きなお世話 (SAY WHAT)」。クレジットのfeaturingの表記だと、ECD、RADICAL FREAKS、MC JOE、GUWASSI、四街道NATURE、U.G.MAN、SONE、IMAZATO、以上が参加メンツになってるけど、RADICAL FREAKSでギリギリ、GUWASSIに至っては、どのバースをRAPしてんのか判別できないのが面白い(笑) 四街道の十八番だった臭いネタのリリックは必聴。あとクボタさんのRUN DMCヴァースも。

ラストとなる8曲目「つるみの塔 (ELECTRIC BOOGALOO MIX)」は、盟友・川辺ヒロシの手によるリミックス。ドラムメインの展開だった土臭いオリジナルとはひと味違う、OLD SCHOOLフレイヴァー漂うエレクトロ調に仕立てたネタ使いが川辺ヒロシらしいっちゃらしい。

グループとしてはいくつかのコンピ参加を除いて、このアルバムと96年発売のミニアルバムにしか作品を残していないキミドリだが、一般リスナーのみならず、シーン内の他のMC達からのプロップスを何故にこんなに集めているのかは、このアルバムに要約されている。欲を言えば…もうちょい曲数が欲しかった!リミックスとスキット、既発曲除くと、新曲は4曲しか入ってない。もっと聴きたいのに!それがこのアルバムのクオリティを下げる事にはならないけどね。

マイク5本、いや、5000VOLT。