久しぶりの初台は、昔の面影とおりだった。
表通りこそ「東京オペラシティ」の華やかな世界感はあったが、
他はなにひとつ変わっていない。
もちろんお店は変わったり、家も新しくなったりしたはずだ。
左に曲がり、水道道路、なんだろう?空気感だ、変わっていない。
区民会館迄の道のりをすっすっと歩いていた。
今までは、付き合った彼らのことは思い出すということは、まずなかった。
何年も・・・。
だからこの通りを歩いたら、ただ「懐かしいなぁ~」と思うのだろうと
ついさっきまで思っていた。
そのまま歩いていくと「渋谷区本町」という住所表記が目に飛び込んだ。
その瞬間、胸に今年一番の北風が吹き込んだ。
だいぶ前の話だというのにこんなに風は吹きこむのだろうか?
それと同時に一瞬で四分の三の思い出の中へ引きずり込まれていった。
あの頃、オペラ通りから水道道路を横断して、どこをどう歩いたのだろう?
遊歩道とそばに学校があったはずだ。
記憶の中の迷路で迷子になっていた。