肺高血圧のほうは、レバチオのおかげで徐々に下がっていった。
レバチオの効果が認められたので、フローランの投与は見送られた。
しかし、まだまだ肺圧は高かったので、ケアロードが追加された。
胸郭出口症候群であることがわかり、今後どのような治療を行っていくか、
血管障害の専門の先生、放射線科、整形外科、循環器内科、
そして、バルーンカテで有名な岡山の先生も交えて、
合同カンファレンスが行われた。
そのカンファレンスにより以下の内容が話し合われた。
『 左手が腫れたのは、左肩の鎖骨下静脈に大きい血栓ができ、ほぼ静脈を塞いでいたので、血流が心臓に戻らず、逆流していたのが原因。また、鎖骨下静脈を塞ぐことにより、周辺の血管が発達して、かろうじて完全に血流が停滞するのを防いでいる。
だが、このままでは腕が腐っていく可能性があり、またその血栓のせいで肺動脈に新しい血栓が次々と詰まっていくかもしれない。血流を良くするために、下の肋骨を切り取るのが妥当。
造影剤で肩の血栓の様子をみても血流によりまったく動く気配がないので、また、もしこれが肺動脈の血栓の原因なら、血栓ができてから相当年月がたっていると思われる点からみても、完全に器質化してしまっていると考えられ、直接その血栓を取り除くことは不可能。
肋骨を切り取るのに全身麻酔をするが、今の肺圧では危険なので、バルーンカテをすることにより、肺圧を下げてみる。 』