大河ドラマが面白いことだし源氏物語読んだことないから、、そういえばマンガ版があると聞いたことがあるな?と読んでみたのだが まぁ退屈、退屈。読むのが苦痛だった。我ながら最後までよく読んだ。褒めてあげたい。ジジイは色恋沙汰には興味ないよ。

 

 しかし何年も前にオネエチャンと遊んだことが、今になって掘り返されて問題のように言われる今日このごろ、この物語がよく現代まで生き残ってきたなと思う。

 強制わいせつ、不倫、強姦、近親相姦のオンパレードじゃないですか。親の嫁を寝取るとか。それが、、、イケメンだったら許されるわけ?周りもヤレ!ヤレ!って応援したりして。上納システムじゃないですか。それにルッキズム!ルッキズムはイケないんでしょ!取り締まるべきはお笑い芸人じゃなくて、源氏物語、そしてその作者を大河ドラマの主人公にしたNHKじゃない??


 でもみんな結局好きなんでしょ、そういうのが。陰でコソコソやってるんでしょ。

 それで表ではケシカランってすました顔で言ってるわけだ。じゃなきゃこの本が千年も残ってきてないわけでね、日本人というのは心底ヘンタイの集まりですよ。そして裏表が激しい。タテマエってやつ。

 親子の血縁関係がないことを知らずに親子やってる人の割合、20%だからね。みんなよろしくやってるよ。2割だと、1クラス30人とすると6人だから、ちょっと引くくらいの割合だ。

 まぁそんな世界だから男が女の家に通う、つまり婿入りする、女系社会だったのだろう。どのタネかわからないけど、産めば赤子は出てくるわけで、母親はこの娘というのは確定するわけだから。とはいえ光源氏は屋敷を構えて女を囲っているので、男系社会への転換期だったのかもしれない。


 それでも本作にも興味深い点はあって、当時は寿命が短く40代だと隠居。おそらく早ければ12、15くらいで子供を為して母になり、20を過ぎれば年増、35くらいでおばあちゃん。で40で死ぬ。40代に近づくと「そろそろ死にそうな気がする」と言ってほんとに死ぬんだからこれも奮ってる。まぁそんな世界だから、内裏の女房達にしたってせいぜい14〜20そこそこでしょ。そりゃあ若い男にキャアキャア言うよ、それくらいの娘は。でもみんな流行り病や飢饉があってコロコロ死んでいくわけだ。

 そんなに人生が短いのに、2年も好きな女に好きと言わない薫。でまたその女も付き合う前に宣言通り死ぬっていう。変態ここに極まれり。

 なのだが、平均寿命から見た40代のジジイっぷりが身につまされる。


 あ、文句並べてたらなんか面白くなってきた。


 それから、年がら年中女を追いかけて酒のんで月をみて花と鳥を愛でて世に疲れたとか言っている上流貴族の凄まじさ。平安時代で人口700万人か、、やはり日本は豊かな国なのだろう。よくクーデターが起きなかったなぁ。やはり本作にもうかがえる徹底的な身分制度、前世の行いが今世に反映されるという、ある種ヒンドゥー的縛りが庶民の思考能力を奪っていたのかもしれない。


 あとは女を見せない、徹底的に姿を隠すっていうのが凄まじい。息子にすら自分の嫁を見せないんだから。うーん。女が家の端に寄るだけでしつけがなってないって、あれ?はしたないってそういう語源なの?今気づいたが。それで息子もチラリとでも親の嫁を見たら100%の確率で好きになっちゃうんだから、凄まじい。そりゃあ見せないよ。息子が12、13くらいだとして、実の母じゃなくて妾とかならまだ20代でしょうから、そりゃ好きになることもあるでしょう。だって嫁は絶世の美女なんでしょ?

 あでも、光源氏が美人と思い込んで強姦してみたらブスだった、ババアだったって笑い話もあるんだから、、あ、今の時代にはそぐわないですよ?笑ったのは作中の人たちがって話、、ブスな娘を持った父親としては便利なシステムではあったのかもしれない。だから、男が「ひと目でも顔が見たい」っていう気持ち、わかるなぁ。


 最後にもう一つ、物の怪が信じられているね。伝染病も、物の怪が伝染るっていう事になっている。これは興味深い。それと祈祷。紫の上なんか死んでから坊主の祈祷で生き返ってるんだから徹底している。生霊が取り付いたり、呪い殺したり、物語ではあるが当時の人たちは信じていたのだろう。


 しかし名作なだけあって、心の中に残るシーンというのは少なくなかった。少し紹介しておこう。


さらっと強姦ーー源氏物語あさきゆめみし 大和和紀 講談社

またまた強姦ーー源氏物語あさきゆめみし 大和和紀 講談社

そもそも手引きするやつがいるーー源氏物語あさきゆめみし 大和和紀 講談社

ババアを掴ませられたと思ったらジジイの性癖だった、という衝撃のシーンーー源氏物語あさきゆめみし 大和和紀 講談社

父の嫁も強姦 しかもご懐妊ーー源氏物語あさきゆめみし 大和和紀 講談社

やるだけではなくやられてしまい、自分の子ではない子を産む嫁をいじめるシーンーー源氏物語あさきゆめみし 大和和紀 講談社

若い男に寝取られた嫁が出家すると言い出し一人前にショックを受けているシーン 省みろよーー源氏物語あさきゆめみし 大和和紀 講談社

 ところで、源氏物語を読んだことがない人にかいつまんでダイジェスト版をお届けしたところ、なにそれー!マジで!知らなかった!すごい!エグい!と大盛りあがりだった。
 なるほど、この作品はひとりで楽しむのではなく、みんなでどう思う?と話しながら見るのが楽しいのだ。
 つまり昔版週刊文春、下世話なうわさ話を一手に引き受けて1000年の時代を駆けてきた、大名作なのだった。