話題になってからだいぶ遅くなって、ようやく見られた、サンクチュアリ。めちゃくちゃおもしろいという評判を聞いてしまっていただけに、期待が高すぎたのか、めちゃくちゃおもしろい!・・とはならなかったが、しっかりと感動だけはした。以下ネタバレ含む。


 相撲取りになれば金が稼げる、と猿将部屋の猿将親方に半ば騙された小瀬(猿桜)は、しきたりや礼を重んじる角界に馴染まず兄弟子からも疎まれていた。関東新聞社の政治部から相撲担当に左遷された国嶋は、強ければいいと、土俵でも無法を繰り返す小瀬の相撲に魅せられていくーー


サンクチュアリ -聖域- 


 相撲をやったことがないから本当のことはわからないけど、ひたすら相撲の描写が凄くて、ラジオとかで聞いたことによると出演者も撮影の1年前くらいからNetflixと契約して、トレーニングして体を大きくして、相撲の稽古をして撮影に臨んだのだという。映像美はさすがだった。

 脚本はひとことで言うと「少年ジャンプにありがちな、主人公の成長ストーリー」。

 それも、登場人物の心情が言葉として語られないので全部視聴者に委ねられる。正直、猿桜の改心にはわたしは全く共感がなかった。え?結局マザコンだったってこと?でもまぁ、現実でも、スイッチってどこにあるか分からないんだよなぁ。問題ありだった若手が、何かをキッカケに化けるってことは、たまにあるから。


 このドラマは、結末は分かってるのに、溜めが長い。嫌になるほど。溜めているときの主題は「同調圧力」だろう。猿将部屋、角界の人々は、自分たちに同化するように小瀬にプレッシャーをかけるが、小瀬は彼らに影響を与えることができない。これは、小瀬の主張が正しくないからだ。しかしあっさりと猿桜が改心して、相撲へ真剣に取り組むことになると、改心後の猿桜のひたむきさに打たれて、猿将部屋の力士がひとり、またひとりと相撲への向き合い方を変えていく。少数の改革者が正しいことを唱え続けると、集団へ影響を与えるのだ。少年漫画の王道ストーリー。そして迎えた猿谷の断髪式。つい感動してしまった。そこまでのフリが長かったぶん。


 物語が一度結末に向かって回転を始めると、あっという間に進んで終わっていく。回収してない伏線は置きっぱなし。続編があるんだろうけど、撮り終えてるってことでしょ?これから撮ろうとしたら、また体を鍛え直さないといけないもんね、もう撮れないでしょ。

 でも。あれでいいのかなぁ。。龍貴、必要だった!?どうせ出すならもう少し丁寧に書いてあげたほうが良かったんじゃない?あれだけで終わったら、占い師の洗脳はまだしも、某貴関が八百長してたみたいになってるけど。まぁ、続編用か。龍貴の虎空部屋、外観がそれとなく九重部屋に似てない?大丈夫?四股は相撲の基本のはずなのに、龍貴が四股踏むとなんで親父怒るの?そういえば猿桜も四股を大事にしたのは一瞬だったな!それから、名前もよく分からなかったタニマチのお兄さん、いったい何だったの?小瀬のどこに魅せられて売れる株を教えたり、タニマチになったりしたの?簡単に株で金を稼げることを知った小瀬は、どうして相撲をやめなかったの?運命の親父の窓辺に置いてあった双葉は結局どうなったの?・・5月場所から、次は初場所?だったから一年近く経ってるけど、窓辺に映ってた鉢の草はまだ小さかったなぁ。。あれ、何育ててたの?猿桜の彼女、どのツラ下げて出てきたの?

 そもそも、スカイツリー近辺の下町に、あんな坂道ありませんけどーっ!

 そうだ!静内。思い出巡りに北海道に帰って、気づいたら一年近く経ってるって、どういうことよ。逆の精神と時の部屋だよ。

 あーっ!これも言っちゃう。なんであんなに小瀬の母親、モテるのーっ!!

 自分で考えろよって話だけど。うーん。消化不良だ。


 「ビビってんじゃね―よ!どうすんだ!ビビったままか!」

 「・・ぶっ壊す!」

 「次逃げたら引退しろ」

 「そうなったら・・殺せ―!!」

 ケンシロウとの戦いで地面に線を引いたラオウを思い出すけれども。こんなこと、現実で口に出そうものなら(その前に、トラウマがあると分かっていてその行為をした時点で)パワハラって言われちゃいますよ。あぁ、馬鹿馬鹿しい。