やふ(´・ω・`)



橘雄大です。






さて、きょうは先日あった出来事を書こうと思います。



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序章  はじまりは突然に


某月某日、天気は晴れ。

僕はいつも通り駐車場に行き、自分の車に乗り込んだ。

機械式の駐車場の扱いにも手慣れたものだった。

ふと、ハンドル越しに気付いた事がある。

ガソリンの残量を指す計器が4時の方角を指していた。

そろそろガソリンを入れないといけないな。ぼんやりとそう思いながら行き慣れたガソリンスタンドに向かった。

ほどなくして到着。今日は少し混んでいるようだった。

だか、タイミングよく到着してすぐに空きができたのでそこに滑り込むように車を走らせる。

車を停め、給油口を開けるレバーを引く
昔はこのレバーが見つからなくてよく困ったものだが、7年も乗り続けているのでさすがにもう困る事はなかった。

そうこうしてガソリンの給油を始める。

油種はハイオクだ。

いままで何回と繰り返した行動だったのでほぼ無意識で一連の行動が出来るほどだった。

それほどゆるやかな時間だった。

そこでふいに意識が現実に戻る。

なぜだか携帯電話が見たくなった。

今どきのスマートフォンだったので厳密に言えば携帯の中にあるSNS系のアプリの事だが。

まぁそれはさておき、僕は携帯電話が見たくなった。

だが、億劫な事に両手がふさがっている。

右手はガソリンの給油。左手は財布を持っていた。

クリスチャン・ルブタンの定番の形の財布だった。

そして携帯電話はジーンズのお尻部分のポケットに入っている。

給油が終わるまで待とうかとも思ったが、そのときの僕は何故だか携帯を見ずにはいられなかった。

なにかに促されるように僕は左手に持っていた財布を、車の左側の後輪の上にポンっと置いた。

空いた左手で手早くポケットから携帯電話を取り出し、いくつかのアプリを開いては閉じる。

そうこうしていると、ガチャっと音がなり給油が終わった事に気付く。

よくよくまわりを見れば、来た時よりも混んでいて何台か待っている車までいる。

そそくさと給油キャップを閉め、素早く運転席に乗り込んだ。

ギアをドライブに変え、発進。

さて、いくか。

そう思い、通い慣れた道の運転に没頭する。

しばらくして、時間にすれば10分ほどだったか。信号待ちをしている時になにげなく財布を取ろうといつも車内で財布を置いている場所を見た。

財布がない。

本来そこにあるべき物がない。

すぐさま車内を見渡すが、いつも財布を置いている場所にも、となりの助手席にもないのだ。

信号が青になり、僕の焦りは更に増した。

身体から血の気が引いていくのが分かった。

急いでハザードランプを点灯させ、車を脇に寄せる。

慌てて車を停車し、車内をくまなく探したがやはりない。

どこにもないのだ。

焦りは増すばかりで額には嫌な汗が吹き出してきた。

落ち着け、そう自分に言い聞かせながらなんとか記憶を巡る。

最後に財布を触ったのはいつだったかを…。

記憶を遡った時間はそれほど多くなかった。

約20秒くらいだったであろう。

あっ!!思わず声が出た。

まさか…そう思わずにはいられないくらいの嫌な結論に至ってしまったのだ。

そう、脳裏に思い浮かべたのはあのガソリンスタンドだった。

そして車の左側の後輪だった。


僕は静かに深く、深く絶望した。


………

……



終章へ続く。




はい、というわけで今回の出来事は秋という事もあり小説風の二部構成でお伝えしてみる事にしましたw

次回、終章をお楽しみに!!