何故、私が飼育している生き物の繁殖/産卵に興味があるのか。

そのきっかけは間違いなくタナゴの仲間の繁殖/産卵に興味を惹かれたからです。

 

タナゴの面白い繁殖行動を知りまして、(後述)

実際に我が家の水槽にて、

「タナゴの産卵行動を見てみたい!!」

(はじめは、婚姻色を見てみたい。と思っていたのかも( ´∀` )/)

なんて思いでタナゴの飼育、そして繁殖に興味を持ち始めました。

 

それが、他の日淡の繁殖にも興味を持つようになったきっかけです。

だから、タナゴのせいなんです(笑)

その頃から飼育用と繁殖用の最低2つ水槽を用意するクセになってしまいました。

 

勿論、繁殖をしなくても愉しいのですが、

繁殖行動をしてくれるっちゅうことは、

その生き物が健康で、自然と同じように暮らしてくれている訳なので

運の部分も大きいですが、様々な条件が出揃った上での運の部分なので、

この飼育方法でおKなんだ!と答え合わせしている感じです。

 

飼育していて楽しい。の延長線の出来事です。

 

 

そんな諸々のきっかけとなったタナゴの仲間の繁殖。

 

タナゴは、

二枚貝に卵を産む。

 

なんじゃそりゃ。

その事実を知った時は実に驚いたものです。

タナゴの存続には、二枚貝の存続が必要で、

その特異な産卵方法を見てみたいと思ったのが最初です。

 

そして、二枚貝を水槽内にいれた時の

婚姻色がバッキバキになった時のタナゴ♂の色味のえぐさに驚いたものです。

 

タナゴの種類といっても、

多くの種類がいますから、はじめはタイリクバラタナゴから始めてみました。

外来種として嫌われる本種ですが、

アクアリウムとして水槽内で愉しむ分には綺麗なお魚です。

水槽で愉しむ範囲から日本の自然の範囲に広がってしまったから

(大昔なんでか大陸から入ってきちゃったのが原因)

外来種として嫌われているだけで、

「飼育が悪」ではなく、「逃がしたりするのが悪。」であって

ブラックバスやブルーギルと同じく、

「お前は悪くないけど、本来居てはいけない場所なんだ。」

と日本の自然の中で出会った時には思わないといけません。

 

なので、

タイリクバラタナゴの飼育をするには(他のお魚もそうだけど、)

まず、野外に逃がさない!。最後まで飼育する思いが必要ですね。

他のタナゴに比べてタイリクバラタナゴは「青み」が濃いです。

日本在来のタナゴも婚姻色は綺麗ですが、

ブルーメタリックさや、派手さはタイリクバラタナゴの方が強いです。

 

飼育に関してもクセないし、

色味の出やすさ、(オスメス揃えばほぼ色出ます)

入手のしやすさ、(1匹数百円程度)

を加味して、タナゴ飼育の入門なのですが、

一応外来種なのでオススメしようにも少し気が引けるんですね( ´∀` )/

 

綺麗なのはわかったけども、

繁殖についてはどんなん?って話ですが、

ドブガイいれときゃ、普通にしてくれます。

 

タナゴの繁殖を水槽で見てみたい!

って人は、タイリクバラタナゴ×ドブガイ のタッグで

挑戦してみるとその繁殖行動の全容を見ることができるはずです。

 

ーーー

 

そんな

タイリクバラタナゴの産卵についてみていきます。

 

まずタナゴの仲間は

に産卵する種類

に産卵する種類

の2種類です。数種類だけ後者で、ほとんどは前者の春に産卵する種類です。

タナゴの魅力のひとつである、

オスの体が綺麗になる「婚姻色」は産卵に起因するものであり、

オスは自分の綺麗さをメスにアピールするためのものです。

 

春に繁殖をする種類は、春に綺麗になるし

秋に繁殖をする種類は、秋に綺麗になります。

 

そして、

繁殖に起因するって部分が大切で、

タナゴの婚姻色を最大限引き出したい場合には、

成熟したオスと、産卵可能なメスを揃える事。

これで7~8割は婚姻色をだしてくれますが、

さらに産卵を意識させたいので、

ここに産卵に必要不可欠な二枚貝を入れてあげるのです。

 

季節感は水温のアップダウンで感じますので、

春~夏にかけて水槽内の水温が上がってくると同時に

成熟したオスメスを水槽に泳がせ、

ほんのり色づいたオスと、産卵管の伸びたメス(貝が居なくても伸びます)

ここに二枚貝のアイテムを加えてあげると、

行動はよりプリミティブ(野生)になり

荒々しくなります。

婚姻色は強くなり、縄張り争いに拍車がかかります。

 

外見的にも行動的にも本能に従うようになるんですね。

「二枚貝」が"ある"のと"ない"のでは全然違います。

それほど、タナゴにとって貝は重要な存在なんでしょう。

 

※二枚貝を飼育している事を忘れないように、二枚貝にも餌を与えましょう。

 

成熟したオスとメス

 

【タイリクバラタナゴ オス 婚姻色に加え追星も口元に見える。)

(タイリクバラタナゴ オス 暗めの環境で特に色が濃く見える。)

(タイリクバラタナゴ メス お尻から輸卵管の管がでています。)

 

ここで、

オスとメスの違いが分かるのですが、

オスは綺麗。

メスは地味で卵を送る輸卵管がある。

ある程度の大きさになれば分かりやすいので

オスメス判別は容易ですね。

 

成熟し、少し色づいたタナゴのオスメスが準備できれば、

あと足りていないピースが産卵床。

 

 

(ドブガイ)

 

淡水に生息する二枚貝の中に卵を産み付けるので、

生きている二枚貝を水槽内に入れてあげて下さい。

二枚貝の飼育はお魚よりも難しいので、

色々とハードルがあがります。

 

入手のしやすさ、丈夫さに長けるドブガイをオススメします。

 

ーーー

 

成熟したタナゴと、産卵床の二枚貝。

産卵に必要なピースが揃ったので産卵が始まります。

 

タイリクバラタナゴの

産卵、開幕。ー

 

 

オスが二枚貝の存在に気づき、

二枚貝の口の部分を頻繁に覗き込むようになり、

二枚貝の近くを縄張りのように陣取ります。

 

この時、オスは、

健康な二枚貝なのかをチェックしていると言われています。

(貝の種類も吟味しているようで、

とあるタナゴはとある二枚貝にしか産卵しない。といったタナゴと二枚貝の相性もあるみたいです。)

 

無事に産卵できそうな二枚貝であるか何度も覗き込みます。

 

 

(二枚貝を覗き込むオス)

 

産卵に使えそうな二枚貝とにらんだ時、

ペアとなったメスを呼んできて卵を産んでもらいます。

 

 

(二枚貝を覗き、卵を産み付けるタイミングをみるメス)

 

ここで、

二枚貝の構造を理解しないといけないのですが、

上画像で、

二枚貝の水の入る場所(入水管)が下側のひだのついた大きな穴。

対して、水の出る(出水管)は上側の穴。

二枚貝も餌を摂りますので、入水管から吸い込み、出水管から水や糞を外に出す要領です。

 

タナゴのメスは

出水管から輸卵管を刺し

二枚貝の体内に卵を産み付けます。

 

タナゴのオスは

入水管めがけて精子を吹きかけます。

 

二枚貝は

出水管から卵を投入され

入水管から精子を吸う事で、

知らずの内に体内でタナゴの卵は受精します。

 

かんたんに順番だけ整理すると、

 

①オスが二枚貝にめぼしをつける。

 

②メスが二枚貝に卵を産み付ける(出水管から)

 

③オスが二枚貝に精子をかける(入水管から)

 

④二枚貝の中で受精する

 

この行動を何回か繰り返します。

 

(産卵予定の二枚貝に誘うオスと輸卵管の伸びたメス)

 

 

(二枚貝の出水管に輸卵管を刺し卵を投入するメス)

 

この卵を投入する瞬間は一瞬です。

二枚貝の開き具合もチェックしているので、

二枚貝が閉じたタイミングや、

うまく輸卵管が入らなかった時は、卵が外に散らばります、

勿論、二枚貝が吐き出すなんてこともあります。

 

そして、メスが卵を産み付けている間体を震わせ待っているのがオス。

 

メスの後ろで体を震わせながら、

精子をかけるタイミングを見計らっています。

メスが産み付けた後すぐに精子をかけに動きます。

 

 

(二枚貝の入水管めがけて精子をかけるオス)

 

これも一瞬の出来事で、

ボヤっと白いものが巻き上がる程度です。

これを二枚貝が吸いこむかは二枚貝の気分しだいで、

確実に受精しているのかが不明な為か

少しだけ運の部分に委ねているだけに、

何度も何度も同じ行為を矢継ぎばやしに繰り返します。

 

時間にして、30分~1時間ほど続きます。

 

これにて、

タナゴの産卵行動は二枚貝との共演で無事終了。

 

受精した卵は、

シェルター代わりの二枚貝の中で成長し、

泳げるようになってから外に出てくるわけです。

出水管から出てきます。

 

二枚貝の立場からすれば

利用されているようで可哀そうに思われますが、

二枚貝の赤ちゃんたちもタナゴや他の魚たちの体内に引っ付けて、

自分たちでは移動できないような遠い場所へ

魚の泳ぐ力を使って届けてもらっている。ので、

WINWINの関係ができております。

 

なんとも不思議なタナゴと二枚貝の関係性ですね。

 

しかし、水槽内では

タナゴの産卵が確認できても

その後の二枚貝の健康状態を見なければいけません。

二枚貝が息絶えればその中の子供たちも息絶えます。

 

タナゴの産卵を見終えたら、

二枚貝の飼育を継続し、

3週~1か月もすれば赤ちゃんが出てきます。

 

赤ちゃんまで確認できれば、繁殖成功!

次は赤ちゃんを大きくしてみよう!のステージになるでしょう。

 

探求し甲斐がありますね( ´∀` )/

 

以上、タイリクバラタナゴの産卵でした。

 

ーーー

 

今回は、

タナゴの仲間の不思議な繁殖方法についてご紹介しましたが、

タナゴの仲間って

釣って良し、ガサガサして良し、

ほいで「飼育して良し!」なんですよね。

 

婚姻色を惹き出すために工夫したり、

繁殖できるように二枚貝を飼育したり、

 

ゆりかごから墓場までを水槽内で見届けられる魚種なので、

本来自然で起きている行動、生涯を水槽で見れるのです。

それも、二枚貝に産み付ける変な産卵方法まで見れるんですっ!

 

さらには、全国津々浦々に散らばる十何種類かの多種多様な仲間達。

 

タナゴ好きが多いのも納得できるのです。

 

今年はタイリクバラタナゴ以外のタナゴの仲間も繁殖してほしいものです。

 

 

私はアブラボテが一番好きです。

 

 

See you next Nittan...

ー終ー

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