クラリネットの藤田成美です!
今回は「スランプ」についてちょっと考察してみたいと思います!
この自粛期間、長いことひとりで楽器の練習をしていて、何かと行き詰まっている方もいるのではないかと思い、そういう人にちょっとでも届いたら良いなぁと思って記事を書いてみます。
そもそもスランプって何?
「スランプ」という言葉をググってみると…
一時的に、調子が出ない、または取引が不景気な状態。不振。不調。
「―に陥る」
と出てきました。ふむ。
楽器の練習で言ったら…
・今までできていたことができなくなった
あとは不景気な状態ってのを楽器で例えてみると、
・今までと同じ練習方法/練習内容をこなしているのに、"成長が"ストップしてしまった
とかも人によってはスランプと言いそうですね。
ということで、この二点に的をしぼってスランプについて考えてみたいと思います!
長い記事になりそうな予感がするので、前編・後編に分けてお話します。
前編
今までできていたことができなくなった
実は私、クラリネットを始めてかれこれ11年になりますが、「スランプ」というものに陥った事は今まで1回しかありません。
でもそのたった1回のスランプがまさにこの、今までできていたことができなくなった、というパターンでした。
音大受験前に、大学で主催している受験前夏期講習会。
この夏期講習は、大学の先生のレッスンを実際に受けることができたり、専攻実技以外にも、ソルフェージュや副科ピアノ等のレッスンを受けることができます。
当時の国立音大のクラリネット受験生は、この夏期講習期間、オーケストラスタジオ(通称オケスタ)と呼ばれる広い部屋に集まって、ひたすら個人練習。各々レッスンの時間になったら抜けて、レッスンが終わったらオケスタに戻ってまた個人練習。
これを丸一日×4日という流れでした。
私は高校時代、室内楽部とよばれる弦楽器の部活動に入っていたので、部活動の時間はヴァイオリンの練習をしていました。
その為、同世代のクラリネットの子との関わりがなく、この受験前夏期講習会で初めて、同世代のクラリネットの音を聞きました。
隣の芝生は青く見える
という、ことわざがありますが、
受験前夏期講習はまさにこれでした。
同世代のクラリネットを聞いたことがなかった当時の私は、個人で習っているクラリネットの先生の言葉が自分のレベルを知る全てでした。
先生に上手いと言われれば、自分は周りに比べて上手いのだろうと思ったし、良い音と先生に言われれば、そうなのだろうと思っていました。
けれど、オケスタにクラリネットの受験生たちが集まって練習しているのを聴いていると、「あれ、自分ってそれほどでもないのかもしれない。」と初めて思ったのでした。
むしろ他の受験生を観察すればするほど、
あの子は音が綺麗とか、
あの子譜読みするの早いなとか、
あの子指めっちゃまわるなとか…
人の良いところがすごい際立って聴こえてきました。
それに比べて、自分は何であの子みたいな音が出ないんだろう、なかなか譜読み進まないなぁ、この指回り難しいなぁ。。。とマイナスの思考がぐるぐる頭の中を巡り、、、
そして楽器を吹くのが怖くなり、身体には力がはいり、音はどんどん汚なくなっていきました。
はい、完全にスランプに陥りました。
その後の夏期講習はもう最悪。
もう自分の音が嫌になりすぎて、音を出すのすら超億劫になってしまったのでした笑
夏期講習の後
こんな状態でも時間は過ぎていくもの。
いつの間にか夏期講習会を終えていました。
夏期講習を終えて数日後、師匠のもとへ。
師匠には、何があったのか音を聴いただけで、すぐにわかっちゃうんですね。
色々考えすぎだよ
何も考えずに吹いてみなー
なんていう何気ないひと言で、一瞬にしてスランプを抜け出してしまったのでした。
隣の芝生は青く見えるものだよ
藤田には藤田のペースでひとつずつクリアしていけばいいんだよと。
なんでスランプを抜け出せたんだろう
私の場合、スランプを抜け出す為に、特別な練習をしたとか、そういうのは全くなくて。
きっかけは師匠の「何も考えずに吹いてみな」のひと言だけだったのです。
どうしてスランプを抜け出せたのかずっと謎でした。
けれど時を経て、身体の勉強や心理学を勉強していくうちに、何となくわかってきたことがあります。
そもそも管楽器は見えない所での作業が多い
前に、百獣の王 武井壮さんがTVか何かで言っていた例えですが…
「鏡の前で目を瞑って、両手を広げて真横(180°)の所で止めてみて。
目を開けて鏡に映った自分は、ちゃんと頭の中で思い描いた場所に腕がありますか?
180°ぴったりに腕を止められていた人なんてほとんどいないから!」
というもの。

実際にやってみるとわかると思うのですが、
目を瞑って、自分の感覚のみで身体を動かしてみると、意外と頭で思い描いたように身体をコントロールできていない、という事に気付きます。
人間の感覚なんてあてにならない、
目で見ずに、身体をコントロールするのって、実はけっこう難しいんですね。
これを踏まえてクラリネットを吹くときの動きを観察してみると、
クラリネットを演奏するときの動きって、ほとんど目で見えない所での動きばかりなんです。
口の中の舌の動き、
腹式呼吸をするときの呼吸筋、
口周りの筋肉の働き、
指の動きだって楽器を吹く姿勢だとほぼ見えてないですよね。
私がスランプに陥ったときを思い出してみると、「音色を綺麗にしたい、まとまった音を出したい」という思いから、口周りの筋肉を必要以上に使ってしまっていたように思います。
けれど、当時の私は必要以上に口周りの筋肉を使いすぎている、という自覚は全くなくて、むしろ音をまとめる為にもっと使わなきゃ使わなきゃ、と思っていました。
(もちろん、まとまった音を出す為には口周りの色々な筋肉を使うのですが、物事には加減があります。)
結局何が言いたいかと言うと、
自分の感覚はあまり当てにならないのです。
自分の感覚では、全然使えていない、もっと使わなきゃと思っている筋肉も、実際はむしろ使いすぎているなんてこともあるかも。
「今、何かを達成するために○○を意識して練習している」
けれど、やってもやっても良くなるどころか、悪くなっていく気がする。
そんな状態になっている方は、実際は"やり過ぎている"のかもしれませんね。
いったん自分の感覚をリセットして、違うアプローチをしてみるのも1つの手かもしれません。
おまけ
自分の感覚は当てにならない、というお話で今回の記事をまとめました。
が、この当てにならない"感覚"
私は数年前、アレクサンダーテクニックの勉強をしていた時期があって、その時おこなったボディ マッピングというものが、感覚を磨くのにとても役に立ちました!
私のクラリネットレッスンでは、
このボディマッピングを取り入れながら、感覚よりも、より具体的にアドバイスすることを心掛けています。
ということで、
楽器が、音楽が、皆さまにとってもっと大好きなものになりますよーに!
次回は後編 :
今までと同じ練習方法/練習内容をこなしているのに、成長がストップしてしまった場合のスランプについて考えてみたいと思います!
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