奈良の2日目午後は、近鉄特急さくらライナーに乗って、吉野に向かいます
久しぶりの吉野に胸が高まります
前回来たのは、5年前。
土砂降りの中、蔵王堂に到着したのを覚えています。
私は大学卒業の時に、友人と卒業旅行で、初めて吉野に行きました。
(その時、メインは吉野ではなく、天河弁財天でした。)
それから、なんとなく毎年のように吉野を訪れていた時期が4~5年ありましたが、蔵王権現ご開帳は一度もチャンスに恵まれませんでした。
今回初めて蔵王権現さまにお会いするので、ドキドキしながら吉野駅をおりました。
吉野の駅に着くと、山が「おかえりー」と言ってくれている感じがします。
修験道の山伏たちの総本山で、厳しい修行の場でもある吉野ですが、私にとってこんなに優しい土地はありません。
吉野駅でコインロッカーに荷物を預けて、ロープウェイで吉野山駅に到着すると、名物の葛を使ったおそばを食べました。
葛豆腐がついています。おそばも豆腐も、すっごくおいしい
葛が入ると、こんなにのど越しがいいんですね
お店を出て、少し坂を登ったところに「黒門」があります。
ここからさらに登って行くと、蔵王堂の仁王門が見えてきます。
階段を登って、さらに坂を登って行くと…
特別拝観の受付をして、ついに蔵王堂に入ります。
もう、すごい心臓がドキドキしています
階段を登り、お堂に入るところで、黒いA4サイズくらいのエコバックを配っていました。
「これに靴を入れてお持ちください。袋は差し上げます。」
えーっ
思わず、「いいんですかっ?いただいちゃって!?」と聞き返してしまいました
こんなこと、初めてです。
このバックは「金峯山寺蔵王堂」と入っていて、とてもシンプルで使いやすそうなバックです。
記念になるし、帰ってから内側を拭いて、大切に使おうと思いました。
さて、ここからは撮影禁止なので、中の様子は金峯山寺のホームページでご覧くださいね
私は蔵王堂の中には行って、最初に蔵王権現様を見たとき、頭の中が真っ白になってしまいました。
だって、ポスターや本で見たことのある、蔵王権現様とは、全然違うのです
1400年間、一度も塗りなおしていないという蔵王権現様の青…
この青は、写真や印刷物では出ない色なのではないでしょうか?
本物は、全然違います
そして…
気が付いたら、涙が止まらなくなっていました
なんででしょうね?
一般には「怖いお顔」と説明されている蔵王権現様ですが、本物は怖いとは感じません。
不動明王のような、怖さはありませんでした。
むしろ、厳しい中に、スケールの大きな優しさを感じました。
一度、正面から全体を見た後は、更に普段は入れない御簾の中に入り、2人ずつ入れる障子で区切ってあるスペースに入れてくださり、本当に間近で蔵王権現様にお会いすることができます。
(こちらは希望者のみ。ただし、並びます。)
「あなただけの空間で、蔵王権現様とお話しください。なんでも心の中のことをお話ししていただければ!」というような内容が書いてあったように思います。
こういうの、優しいですよね…
私のように、めったに来られない遠い場所に住んでいる者にとっては、最高のおもてなしです
この小さな空間で、私は蔵王権現様にご挨拶をして、ゆっくりと手を合わせて目を閉じました。
その瞬間!
なぜか、渦巻いている星雲が視えたんです。
まぶたの裏に見えた…といってよいのでしょうか?
ずーっと同じものを見ていると、そのあとで目をつぶってもまぶたに焼き付いていることって、あるでしょ?
それと同じ感じです。
びっくりして、目を開けて、もう一度つぶってみましたが…やはり視えます。
これはなんだろう…
そう思いながら、蔵王権現様にと向き合い、考えていると、ふと気がついたことがありました。
これは、私の勝手な解釈ですが…
私は今回、パガニーニのカプリス24の表現で悩んでいて、パガニーニがどんな時期にこれを書いたのか…とか、彼の性格や伝説を調べていたのですが、これは少しでもパガニーニに近づくため。
しかし、「悪魔と契約した」とか「すっごいケチで賭博好き」など、あまり想像のつかない人で、調べれば調べるほど遠のいていく感じがありました。
(はっきり言って、実際に会ったらあまり好きにはなれないタイプの人だと思います。)
しかし、蔵王権現様の前で浮かんできた星雲…
(たぶん、銀河系だと思います。後で調べたら、想像図っていうのがそっくりでした。)
私は凄く勘違いしていたのかもしれないのです。
パガニーニの気持ちに近づこう、なんて所詮無理な話。
でも、「悪魔と契約した」なんて噂、本当かどうか、だれもわからないではありませんか。
ひょっとして、悪魔ではなく、神様だったのかもしれません。
それは、人間の判断できることではないのです。
私は…
「こんなことを表現しよう」と策を練る前に、この宇宙と私をつなげればよいのです。
そして、宇宙を感じさせてくださった、蔵王権現様の気を再現しながら、演奏すればよいのです。
それでできた音楽を、判断するのはまた、私ではありません。
「悪魔」と感じるか「神様」と感じるかは、聴いてくださった方(お客様)が判断すればよいことなのです。
だって、宇宙は一つなんですものね。
「よい」も「わるい」もなく、ひとつが全て、すべてが一つ。
そういうものを考えて、表現すれば、何も怖くはなくなるのではないか…と思ったのです。
(ただし、丸裸の自分が表現として出てしまいますが…)
なんだか原点に戻った気がしました。
何度も頭を下げて、蔵王権現様の前をあとにしました。
離れがたかったのですが、帰りの時間もあるので、ご朱印をいただいて、蔵王堂から出ました。
こちらは山の上の方から入る門のほうから写しました。
このあと、吉野名物、葛切りを食べて(おいしかった)、黒門の近くの「ひょうたろう」で柿の葉寿司を買い、吉野山駅に向かいました。
(「ひょうたろう」は吉野から絶対に出ない、ここでしか買えない柿の葉寿司屋さんです。ほんとうにおいしい柿の葉寿司が食べたい人は、ぜひご賞味ください一味違いますよ
)
吉野でコインロッカーから荷持つを取り、急行で樫原神宮まで行き、そこからまた急行で京都に。
そのあとは、新幹線で東京に戻って来ました。
一泊二日の奈良旅行でしたが、本当に充実した旅でした。
蔵王権現様のおかげで、レコーディングもがんばれそうです
長い奈良旅行のブログを読んでくださって、ありがとうございました