不快、不快、不快!!
これ以上ない程に不快だ。外からの要因よりも、内の要因によって。


目はチカチカして視界が定まらない。頭はズキズキと悲鳴をあげる。左耳の聴力は落ち、胸は煙と排ガスの吸いすぎでキリキリ痛む。手足はそれらが体と一体であるという事実を知らない様子。そして気だるい吐き気。



この体を捨て去りたいくらい。質的な変化に体がついていかない
何かが始まっている。ただし、その姿は未だに見えない。


いつも私を煩わせるのは形而上の事象。
そう。
たった今、何かが始まったのだ。
森の精が荒れ狂う風の声に乗せて
弱々しい横笛のファンファーレを鳴らし
夜の使者が暗雲を激しく操りながら
1人の死神に鉄槌を振り下ろしたのだ。
何故に、私はこの単純な事実に気がつかなかったのか?



事は4時間以上前に遡る。
上野の不忍池を歩き、明治大学のリバティタワーを霧雨に霞む中眺めた時、自分のある特殊な生き方を発見した。
「自分は全ての感情を表に出す事なく生きてきた」という事に。


感情は冷静な判断を鈍らせる。

そう考えて、余り表に出す事はしなかった。弱音も、苦しさも、愛情も、憎しみも……。


だから、誰にも理解されないし、誰かに打ち明ける事さえしなかった。


だが、ここからが問題だ。「この生き方は正しいのか、否か?」


これは自分の信念か否か?


兎に角、一つの壁に穴が開き、その先の景色に目を向けられた。
最も、その先にはやはり、暗い壁が立ち塞がっていたわけだが……



それでも、明らかに昨日とは違う風が吹き始めている。
喜ばしい事態だ。