ユリンからの電話









桜を見に京都へ行かなか…?








昨日あんな出来事があって、こっちは眠ることも出来なかったと言うのに‥‥








何事もなかったように僕を旅行に誘うなんてどういうつもりなんだ。








ユリンの行動に少し苛立ちを感じはしたが、ひとまず品川駅で待ち合わせをする事ににして、電話を置いた。








駅に向かう車中でいろいろ考えを巡らしてみる。


答えなど出るわけでもなく、とりあえず今は、ユリンに会えば何か答えが見つかるような気がしてきていた。








改札口で待つ彼女は、昨日とは違い洋服だった。








「ごめんなさいね。急に呼び出したりして…どうしてもあなたに京都の桜をお見せしたくてご迷惑だったかしら‥‥」









「いや…迷惑だなんて…ただびっくりして。昨日あんな事があったのに…」








「ごめんなさい。ただ私も昨日の件はまだ正直戸惑ってはいるの…でも日本をご案内するってお約束してたのに、あんなことになってしまったから…
やっぱりお誘いするのはおかしいわね。」








「いや、おかしいとかじゃなくて、ただ純粋に驚いたんだ。





京都の桜か…見てみたいな。」








「本当に?良かった。じゃあ時間も迫っているし急ぎましょう。」








ほのかに香るこの香りは彼女にプレゼントしたあの香り…まだ君の香りになっているんだね。





昨日は香らなかったのに…。なのになんで今日は…







‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥



新幹線の中では終始昔話をしていた。お互いに別れてからの話は無意識に避けてしまうようだ。





それでも出会った頃や付き合い始めた頃の話をする僕達は同じ思い出を共有しているのだと嬉しくも感じた。








京都に到着








桜の季節。街は、やはり観光客で溢れかえっていた。








ホテルでチェックインを済ませ、早速桜を見に出かける。









本当に、彼を誘って良かったのかしら…そんな不安がなかったわけではない。それでもきっとこの旅は、二人にとって意義のあるものに違いないと思い始めていた。









私達は、その昔豊臣秀吉が宴を催したことで有名な醍醐寺に足を運んだ。




花の醍醐と呼ばれるだけあって参道の桜のトンネル、霊宝館のしだれ桜言葉を無くすほどうっとりしてしまう。








「こんなに素晴らしい桜を見たのは初めてだ。」




夢中になってカメラを構えるスンヒョンの笑顔は、ふと現実を忘れさせてしまう。








京都の街を人力車で走り抜ける…








時折揺れる車のうえでバランスを崩し、もたれかかってきたユリンの腰を抱いた。








一瞬にしてこわばるユリンの体に、触ってはいけないものに触れてしまった罪悪感とずっと手にしたかったユリンに触れた喜びが交互に押し寄せてくる。








「ごめんなさい。」





バランスを立て直し、少し距離をおいて座り直すユリン。








やはり5年の月日は、そう簡単には埋められないものなんだろうか。








僕は少し苛立ちを覚えた。








‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥


「きゃ!」





乗車中バランスを崩しスンヒョンへ倒れ込むかたちで抱き寄せられた。








一瞬体が強張る…





このままただ思いのままに身を寄せるのは簡単なこと…





でも今の私達は犠牲にするものが多すぎる…





越えてはいけない壁がそこにはある…








何故スンヒョンを京都まで誘ったの?





東京は博之と過ごす街だから?





昨日スンヒョンが言った言葉に惑わされてるの?




今日は彼からプレゼントされた香りを身にまといスンヒョンを京都に誘った。





彼は覚えているだろうか…














早めの夕食を終えライトアップされた桜を見に平野神社へ









ぼんぼりの灯りに映し出しだされた桜の境内を歩く。





どちらからというわけではなく自然に触れた手で彼女の手を握りしめた。








昼間とは違い、今度はユリンも握り返してくる。







少しアルコールが入っているせいかユリンの頬がピンク色に染められている。









ぼんぼりの灯りに映し出される桜を見上げる彼女の横顔に思わず見とれてしまっていた。








桜は人を惑わす…夜桜は昼と違い更に妖艶な雰囲気を醸し出す。








握った手を離さないようにしっかり握りしめ一歩一歩境内を歩く…








お互い黙ったまま…








月明かりに照らされた桜の木の下で僕は握った手に力を込めユリンを自分の胸に抱いた。








見上げたユリンの瞳には今にも溢れ出さんばかりの涙が見える。








その涙を指で拭きそっとユリンのおでこに口づけを…









少し驚いたユリンの表情…











そのまま今度は唇を合わせてみる。最初は、お互い確かめあうように唇を重ね合わせる。










一瞬5年前に戻った錯覚に陥った









徐々にお互いを求め合うように唇を重ね合う。ユリンが僕の背中にまわした手に力がはいる。











離したくない…もう離れたくない…そんな思いでユリンを強く抱きしめた。
















スンヒョンに抱きしめられ幸せを感じながらも言い知れぬ不安も同時に抱いていた









幾度となく博之の顔が浮かび、私の気持ちにブレーキをかける







スンヒョンと重ねあう唇は一段と熱をおび、押さえきれない衝動へと私を駆り立てようとする









今はこのままスンヒョンの胸にただ抱かれていたい…






博之の妻でなく、あの頃愛し合ったユリンとしてスンヒョンに…







桜色に染まった夜風が優しく2人を包み込んでいた。














遅くなりましたが、タプ小説です。



私事で申し訳ないのですが、昨日からスマホに変えました。


慣れない為しばらくコメもなかなか出来ないかもです。


なので今回の記事も雑いですが、読んでいただけたら嬉しいです。