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▲柏の葉キャンパス駅の外観
 
皆さん、こんにちは。
船橋市議会議員の石川りょうです。
 
昨日(2月1日)は、船橋市議会海老川上流地区まちづくり調査研究特別委員会で、柏市の視察に行ってまいりました。今日はその報告の第1弾を。柏の葉国際キャンパスタウン構想についてです。
 
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▲三井ガーデンホテル前の中庭
 
この視察の目的は、現在、船橋市が進めている「海老川上流地区のまちづくり(メディカルタウン構想)」の参考にするためです。海老川上流地区のまちづくりは組合施行による土地区画整理事業。対する柏の葉キャンパスタウン構想は千葉県施行による土地区画整理事業です。互いに土地区画整理事業による新しいまちづくりという共通点がありました。
 
しかし、決定的に異なるのは、柏の葉キャンパスの方は、駅前の広大な土地が、ゴルフ場であり、三井の土地だったということです。現時点ですでに開発されている駅前のショッピングセンターやレジデンス(タワーマンションなど)、ホテルなどが集積している場所は、まさに三井の土地であり、三井不動産が開発されたとのことでした。
 
対する船橋市の海老川上流地区は、地権者さんが500人以上。話し合いがうまくまとまるのか、不安は尽きません…。
 
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そして、次に異なるのが、大学の存在です。
柏の葉キャンパス駅には、東京大学と千葉大学のキャンパスがあります。
柏の葉国際キャンパスタウン構想の特徴は、UDCK(Urban Design Center Kashiwa-no-ha)という「公(千葉県と柏市)、民(三井など)、学(東大、千葉大)」の連携によるまちづくりです。
 
質問をして、非常に面白いなと感じたのは、UDCKは、別に法律や条例、協定などによって縛られていないという点でした。いわば、関係者たちは、暗黙の了解、すごくくだけた言い方をすれば、「この街に関わることは、みんなでしっかりと話し合って決めようね」という約束事によって存在している組織だということです。これが守られているからすごい。
 
そして、UDCKの構成員は、各関係者が手弁当で派遣してくる。
センター長は東大の教授、副センター長は千葉大の教授や柏市の部長、ディレクターは柏市や千葉大や民間企業の方々といった具合です。これが、「公・民・学」連携によるコラボレーションがうまくいっている否決だとおっしゃっていました。
 
やはり、大学の存在というのは羨ましいですね。
最先端の「知」が共有されますから。
 
海老川上流地区のメディカルタウン構想に、医療系研究機関や大学などの誘致という文言が入っていましたので、それが実現し、「公・民・学」の連携が取れる街になるといいなと思います。
 
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▲KOILの様子
 
KOILという施設も見せていただきました。
KOILとは、Kashiwa-no-ha Open Innovation Laboの略で、柏の葉オープンイノベーションラボと訳される、ベンチャー支援拠点です。
 
「創造的な産業空間の醸成」という、柏の葉国際キャンパスタウン構想に掲げられている目標を達成するための中心施設です。
 
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▲KOILの様子
 
月に1万5千円の料金で、オープンスペースを自由に使えます。
この座席一つ一つがオフィスです。
 
事業がうまくいき、従業員を抱えられるようになれば、KOIL内にある広いスペースへの入居が可能になります。柏市としては、せっかく市内で育った企業が、大きくなったら市外に転居ということになると、雇用の面からも、税制の面からも、悲しいですよね。市内で育ったベンチャー企業に、そのまま市内で活躍してもらうための工夫です。
 
柏の葉国際キャンパスタウン構想の目標の一つに、「健康を育む柏の葉スタイルの創出」というものがあり、船橋市のメディカルタウン構想が参考にすべきところはここだろうなと思って、視察に臨んだのですが、この点については、あまり見ることができませんでした。これから、船橋市独自のものについて研究していかなければいけないなと思います。
 
最後に、私が柏市の職員の方にさせていただいた質問について。
 
柏の葉国際キャンパスタウン構想の説明をいただき、一人の人間としては、この街に住みたいなという思いを強くしました。街もきれい、ショッピングセンターもある、タワーマンションも素敵、道路も広い、大学も近い、都心への通勤にも便利、公・民・学が連携してまちを造っていこう、このまちの子どもをみんなで育てようという努力もいたるところに見える。本当に素敵なまちだと思いました。しかし、同時に心配になってしまったのは、柏市内の他の地域との開発格差です。柏市は広い。旧沼南町などとの合併を経て現在の市域を構成している。JR柏駅前の百貨店などが撤退した話も聞いている。行政は柏の葉ばかりに力を入れている・・・といったような住民感情が沸かないか心配をしている。そういう声はないか?また、行政マンとして柏の葉のまちづくりに関わられていて、市域全体を考えた時の開発に対する注力のバランスについてどう感じているか?
 
ご説明いただいた柏市の職員の方の回答によると、市内の他の地域も力を入れてやっているし、市民からも特段、そのような声は寄せられていないということでしたが、私の感覚では、この柏の葉キャンパス駅前は、あまりにも違う世界に感じられました。
 
もちろん、どんな街にも栄枯盛衰はありますし、新しい街が他の街よりも素敵に見えるのは当然です。しかし同時に、政治や行政に携わる人間は、バランス感覚を持ち続けることが大切なのだろうなと感じました。
 
2018年2月2日 船橋市議会議員 石川りょう