小学五年生を担当するある女性の先生は、ひとりの
男子児童を快く思っていなかった。

..勉強しないから成績も悪いし、服装もいつも薄
汚い。それに子どもらしさがなく表情も性格も暗い。

この先生は、内申書にその気持ちを正直に書こうとした。

..しかし、書く前に念のためにと、この児童の一年
生からの内申記事を読んでみることにした。

すると驚いたことに..。

一年生「彼はとても成績優秀で努力家。性格も明るくて
周囲からの人気者」とある。

先生は目を疑った。他の児童の内申書ではないのかと何
度も確認した。

二年生「お母さんが病気で看護疲れをしているようだ。
時々授業中に居眠りをすることもあるが、がんばって
ほしい」

三年生「お母さんが亡くなった。心の支えを無くした
ようで時々ぼんやりしている。家事も手伝っているの
だろうか、宿題をやってこないときがある」

四年生「お父さんが酒に酔って乱暴することがある。
自宅でも怯えることがあるようだ」

..これを読んで先生はショックを受けた。

こんな年端もいかない児童が苦しみを受けながらも
それに耐えて学校に通っている!そのことを知った
先生は胸が熱くなるのと同時に、事情も知らないまま
彼を嫌った自分を恥じた。

そしてある日、先生はこの児童に声をかけた。
「先生はいまから教室に残って仕事をしていくから、
あなたも良かったら残っていかない。勉強の分からない
ところがあったら先生が教えてあげる」

彼はその一言に照れたようにはにかみ、嬉しそうに
勉強をはじめたのだ。

孤独に必死に耐えてきた、幼い心はそのあたたかい一言
でほんの少し救われたのかもしれない。

..その後、毎日の居残り勉強で再び明るさを取り戻した
彼は抜群の成績で特待生として名門中学へ合格した。




..どんな職場にも嫌な人、ソリの会わない人はいます。
小言ばかりを言う先輩、理不尽なことを言う上司..。
ほんとに会社に行くのも憂鬱になっちゃいますよね。

..でも、よく考えてみると少し誤解があるのかも。

よくその人を知らないが故に、疎んじてしまっていたり
自分にも何かしらの原因があったりするかもしれません。

よく他人は「自分を写す鏡」 などと言います。

結局は、世の中のことは「自分から発して、自分へもどる」
だけなのです。

自らの不勉強さを、未熟さこそを自省して
だいきらいな人を 大好きになれたらいいなと
思ってます。